浜田山駅から徒歩約12分、善福寺川緑地の一角を切り取ったかのように杉並区立杉並児童交通公園が姿を現す。少しレトロな遊園地といった趣の同公園は、1970年代の交通・公害問題の深刻化を背景に、遊びを通じて子供たちに交通知識や交通道徳を身に付けてもらうことを目的として、1972(昭和47)年4月1日にオープンした。
正門を入ってまず目に入るのは、自転車や足踏み式のゴーカートで走れるアスファルト舗装のコース。白いペンキで横断歩道が描かれ、信号機もそろい、噴水を中心としたロータリーが設置されているなど、まるで本物の公道のようである。園路の左右にはケヤキ並木、中央分離帯にはサツキツツジ、脇の花壇には季節の花が整然と並び、利用者の目を楽しませる。
メインストリートの突き当りにある「ミニ東京駅」はとんがり帽子の屋根を持った赤レンガ造り2階建て。そばには機関車の遊具、定期的に警報機が鳴る踏切などが設置されており、電車遊びにぴったりだ。一方、園内の「すぎなみえき」の改札をくぐると、1974(昭和49)年に国鉄(当時)の大宮工場から運ばれた蒸気機関車D51-254が展示されており迫力も十分。運転席をわくわくしながらのぞき込む子供や大人の姿が見られる。
道路で区切られた広場には、すり鉢状のコンクリート製すべり台やカラフルな大型ジャングルジム、ブランコ、砂場など、交通関連以外の遊具も充実。随所に用意されたベンチから、遊ぶ子供を見守る保護者の姿も多い。自然に囲まれた園内のいたるところで子供の歓声が響き、のどかで伸びやかな雰囲気が醸し出されている。
園内では自転車と足踏式ゴーカート(計180台以上)の無料貸し出しを行っている。自転車の利用は中学生以下の子供とその付添人のみに限られるが、サイズ14~26インチと豊富で、補助輪付きや練習用もあり、さまざまなニーズに対応。これらを借り、信号や交通標識に従って1周1,100mのコースを走るうちに、楽しみながら交通ルールが身に付く仕組みになっている。
ゴーカートは1人用(小学生用)と2人用(幼児と保護者用)の2種類があり、2人用は休日には特に人気。その他、幼児の安全性を配慮した専用コーナーにも色彩豊かな交通遊具(コンビカー)多種類がそろい、はしゃぐ幼児の姿がほほえましい。
なお「ミニ東京駅」の左側にあるもう1つの出入り口は「善福寺川緑地こどもサイクリングコース」に通じており、園内のコースと合わせ、全長2,400mの充実した走行を楽しめる。サイクリングコースでは、清流に沿って自転車を走らせつつ、川沿いに植えられた桜並木や水鳥など、季節ごとの風情を堪能できる。園内のコースで自転車の運転や交通ルールを学んだ後、実際のサイクリングの楽しさを知るのにはうってつけ。1日を満喫した子供たちにとって、この交通公園で学んだ交通知識やマナーは、美しい景色と合わせ大切な思い出になるだろう。
広さ:9,187.1㎡
駐車場:なし
駐輪場:あり
水遊び場:なし
ボール遊び場:なし
犬連れ:不可
トイレ:あり
バリアフリートイレ:なし
売店:なし
飲料自販機:なし
管理事務所:あり
防災設備:消防用ポンプ格納庫、防火水槽