センターの各フロアを詳しく紹介しよう。
3階:講座室
環境全般・リサイクル普及に関する講座・講習会が開催される。自然環境やエコライフをテーマとした講演会には定員以上の応募が寄せられることが多い。「セミの羽化」「ネイチャーゲーム」等、自然観察に関する講座や観察会もかねてより人気が高く、楽しげな親子連れの姿が見られる。また、家庭で使わなくなった布類のリメイクやエコ製品の手作り体験・おもちゃのクリニック等、物を大切にする意識を重視し、子供から大人まで楽しめるイベントも目白押しだ。資料・展示スペースには環境関連の図書や情報も多数揃っている。
4階:事務局
受付では、区民一人ひとりの環境配慮行動を手助けするため、充実した備品を無料で貸し出しており、双眼鏡・顕微鏡・箱メガネ、種々の測定器(紫外線強度計、粉塵計、電磁波測定器、騒音計、食塩濃度計、食品用放射温度計等)が用意されている。中には、家電製品の待機電力や使用中の電力を簡単に測定できるワットアワーメータ-など、家庭で省エネの効果を体験できるよう考慮された品もある。
センター1・2階の「リサイクルひろば高井戸」は、リユース促進活動の拠点として定評がある。
1階は家具、食器の展示販売を行っており、皿や茶碗などは一つ50円前後から購入できる。堀出し物を楽しみにする客は年代・性別共に幅広く、品物の回転の早さは特筆もの。家具は簡単な修理・清掃を施した後に格安で販売販売されている。
また2階は衣類や雑貨のコーナー「エコマーケット」である。季節に応じて衣類の寄付受付時期を区切っているため、丁度シーズンに合った商品の中から今本当に欲しい物を探すことができる。インフォメーションコーナーでは衣類の受付のほか、家庭の廃油から作った石鹸、アクリルたわし、重曹など環境負荷の少ない掃除用品も販売しており好評だ。なお3階の講座室では、これらエコ商品の製作や実際の利用方法に関する講座も頻繁に開催されている(「石けん作り体験」「基本は重曹!」等)。
環境問題について知識がなくても、敷居の高さや戸惑いを感じることなく、実体験を通し「環境に優しい生活とは何か」を考えてみたくなる施設である。
4階の事務局を預かるのはNPO法人すぎなみ環境ネットワークである。
同法人は杉並区からの委託を受け、環境保全に関する講座・講習会・見学会等を企画運営している。また、秋には環境をテーマに広くレポートや工作などの作品を募集し、展示する「かんきょうアイデア展」や区内環境団体の活動を紹介する「エコ路地フェスタ」を開催。その他、区内小・中、高等学校への講師や環境サポーターの派遣等、各校の環境学習内容に沿った支援を実践、学習内容を決める事前の相談にも乗っている(ヤゴ救出大作戦、ビオトープ作り、川や公園、生き物調査など)。さらに、集団回収やディッシュ・リユース・システム(※)の運営、家庭で使いきれない食品を受け付け、子ども食堂などに寄付を行うフードドライブ事業にも力を入れている。
環境問題に取り組んでいる充足感と連帯感を共有できる環境活動推進センター。時間を作ってじっくり見てみたい施設である。
所長からのメッセージ
本センターは、区民、団体等による環境活動の一層の促進を図るための総合的な拠点として開設いたしました。特徴は、環境活動のための専用のスペースを設けた点にあります。この施設を有効に活用し、これまで以上に各環境団体が活動に打ち込み、交流を深め、協働して環境活動を実践することで、新会員の入会や活躍、新たな団体の設立や参加につながるよう協力しております。1、2階のリサイクルひろば高井戸では、リサイクル、リユース事業を実施しています。3階の資料室や4階の団体スペースなどを活用して学習ができます。また、4階の事務局では環境団体を紹介することもできます。各団体の活動状況を確認し、活動してみてはいかがでしょうか。講座や講演会をきっかけとして受講者が新たな団体を設立し、活動を開始することを期待しています。
※ディッシュ・リユース・システム:イベントのごみを来場者と共に削減する取り組みの一つ(食器の再利用システム)。