毎年生徒の9割以上が中央大学に内部推薦で進学する、中央大学杉並高等学校。都内のみならず隣県から通学している生徒も多く、通学所要時間は平均60分から90分だという。
「本校では大学進学は当たり前。大学がゴールではなく、その先の未来を見据えた教育を施す環境が整っています」と、山岸副校長は話す。生徒からも「普通の学校では学べない授業がたくさんあるのが自慢です」と、多彩な授業が好評だ。
例えば国語科では、1年生から論の組み立て方を学び、3年生で6,000字以上の卒業論文を仕上げる。そのため、月に数回、中央大学の大学院生からアカデミックライティング(※)のスキルを教わる時間も設けられている。
また、土曜講座のアジア研修では、JICAの青年海外協力隊、大使館、企業などの協力を受けながら、アジアの国々が抱える衛生、医療、貧富の差などの問題について学ぶ。そして、夏休みには現地を視察し、事後学習で現実的な課題解決に取り組んでいる。
さらに、中央大学は法曹教育に定評があるが、高等学校でも土曜講座で模擬裁判を行うほか、日本弁護士連合会主催の「高校生模擬裁判選手権」に東京都代表として関東大会に出場し、毎年上位の成績を収めている。
近隣地域との関わりが非常に多いのもこの学校の特色だ。
まず、杉並区と荻窪病院と、災害時の施設や敷地の利用などについて協定を結んでいる。「地域の小学校や中学校では備蓄倉庫や避難所などの役割がありますが、地域の高校としてお役に立てるのは本校としても嬉しいことです」と、山岸副校長は語る。運動部の生徒は荻窪病院の災害訓練に参加して、負傷者搬送の訓練なども行っている。
また、近隣の区立桃井第一小学校で夏期学習ボランティアを行っており、「子供たちと遊ぶことはあっても、教えることはなかったのでとてもいい経験になりました」や「“分かった”と喜ぶ子供たちの顔を見ることができたのがとても嬉しかったです」と、生徒たちはやりがいを感じていると話す。地域社会の一員として自分の存在を改めて見つめる機会を、学校がとても大切にしていることが伺える。
生徒と先生の雰囲気は、双方から「穏やか」という声が上がる。国語科の鈴木教諭は、「生徒が穏やかなので、その雰囲気が伝わるのか教職員も穏やかです。教員が生徒を叱るようなこともほとんど見受けられず、安定した信頼関係を築いています」と話す。一人の人間として尊重し、常に心に寄り添い指導する先生と生徒との関係は、日常から自然と培われているそうだ。
山岸竜生副校長のメッセージ
「本校は通学区域が広く、一都三県、さらには海外からも生徒が集まります。皆さんも杉並区にあるこの高校で、さまざまな友人たちとの出会いを通じ、心豊かな大人へと成長していきましょう」
建学の精神
「真善美」
正しい知識を身につけようという向上心を持ち、自分がなすべきことは何かを判断し、日々の生活の中でときめきを感じていく
主な地域活動
・杉並区・荻窪病院との協力協定による、荻窪病院での災害訓練への参加
・区立桃井第一小学校での夏期学習ボランティア
・杉並区主催のオリンピック・パラリンピックイベントでのボランティア(種目体験の補佐、器具展示の説明など)
・今川町親和会主催「灯りde絆」への参加(美術部・漫画研究部・俳句創作授業の生徒(レッツ575)の作品出品)
・今川町内会の祭りへの参加(サッカー部)
・すぎなみフェスタでの演奏(吹奏楽部)
・児童福祉施設、ケアハウスなどでのコンサート(MVS同好会)
イベント情報 ※詳細は公式HPを参照
・公開授業:春・秋の年2回開催
・緑苑祭(文化祭):例年9月開催
・体育祭:例年11月開催(中央大学多摩キャンパスにて)
・学校説明会:年4回開催
・中杉ガイダンスツアー:夏休み・二学期を中心に年十数回開催
生徒数(2019年度)
3学年合計:995名
著名な卒業生
浅田次郎(小説家)、室屋義秀(エアロバティックス・パイロット)、えのきどいちろう(コラムニスト)、永井浩二(野村ホールディングス社長兼グループCEO、野村証券社長)、国山ハセン(アナウンサー)
※ アカデミックライティング:学術的な文章を書く技術