関村ミキの料理帳

著:関村ミキのレシピを再現するプロジェクトチーム

今から115年以上も前、明治時代の女学生がタピオカのスイーツレシピをメモしていたと聞いたら驚くだろうか。
この本は、高井戸ゆかりの才女・関村ミキさん(1883-1971)が書き残したレシピを再現して紹介したユニークな料理集だ。基となった資料は、ミキさんが1904(明治37)年頃に女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)附属高等女学校専攻科の授業で使っていた古いノート。本書では、その中から判読可能な「キャベジドレッセング(キャベツドレッシング)」「プレスチッキン(鶏肉料理)」などの洋食8品と、「タピオコ(タピオカ)のお菓子」「ドナッツ(ドーナツ)」などのスイーツ7品を選び、資料を忠実に読み解いて再現。料理好きのライター有志がチームを作って、好奇心いっぱいに調理、試食した過程もリアルに記録されている。

▼関連情報
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「料理帳」と題したボロボロのノートに、約20品のハイカラな料理の作り方が、筆文字で書き残されていた

「料理帳」と題したボロボロのノートに、約20品のハイカラな料理の作り方が、筆文字で書き残されていた

著者インタビュー

文語体で書かれたレシピを読み解くのが一仕事でした。レシピには「カレイパーダル(カレーパウダー)」「タピオコ(タピオカ)」など、明治期には珍しかったと思われる材料も出てきます。一体、当時のカレー粉はどんな商品だったのか、タピオカは小粒か大粒か、「乳茶碗半分」とあるが茶わんの容量は何mlなのかなど、立ちはだかる難問を解いていくのも楽しい作業でした。
なお本書は、新型コロナウイルスの影響下でがんばる阿佐谷の飲食店を応援する「阿佐ヶ谷の飲み屋さん」サイトで購入可能です。

▼関連情報
阿佐ヶ谷の飲み屋さん(外部リンク)

「タピオコ(タピオカ)のお菓子」。再現してはじめて、甘いメレンゲをのせた見た目もかわいいプリンだったことが判明

「タピオコ(タピオカ)のお菓子」。再現してはじめて、甘いメレンゲをのせた見た目もかわいいプリンだったことが判明

おすすめポイント

各レシピには、材料と作り方に添えて、食べた感想も書かれている。おいしそうな料理が多く、試してみたくなる。またミキさんの人物紹介や、女学生時代の家計簿などにまつわるコラムも掲載。歴史の読み物としても興味深い1冊だ。
掲載15レシピのうち5品は、阿佐谷周辺の居酒屋や焼き菓子店が調理に参加。協力店の方がプロの視点で寄せた調理の感想も読んでみてほしい。

「カレイ」の紹介ページ

「カレイ」の紹介ページ

ミキさんが裏面を料理メモに使っていた昭和時代のレトロな広告チラシなども掲載

ミキさんが裏面を料理メモに使っていた昭和時代のレトロな広告チラシなども掲載

DATA

  • 取材:内藤じゅん
  • 撮影:TFF
  • 掲載日:2020年09月21日