今から115年以上も前、明治時代の女学生がタピオカのスイーツレシピをメモしていたと聞いたら驚くだろうか。
この本は、高井戸ゆかりの才女・関村ミキさん(1883-1971)が書き残したレシピを再現して紹介したユニークな料理集だ。基となった資料は、ミキさんが1904(明治37)年頃に女子高等師範学校(現・お茶の水女子大学)附属高等女学校専攻科の授業で使っていた古いノート。本書では、その中から判読可能な「キャベジドレッセング(キャベツドレッシング)」「プレスチッキン(鶏肉料理)」などの洋食8品と、「タピオコ(タピオカ)のお菓子」「ドナッツ(ドーナツ)」などのスイーツ7品を選び、資料を忠実に読み解いて再現。料理好きのライター有志がチームを作って、好奇心いっぱいに調理、試食した過程もリアルに記録されている。
文語体で書かれたレシピを読み解くのが一仕事でした。レシピには「カレイパーダル(カレーパウダー)」「タピオコ(タピオカ)」など、明治期には珍しかったと思われる材料も出てきます。一体、当時のカレー粉はどんな商品だったのか、タピオカは小粒か大粒か、「乳茶碗半分」とあるが茶わんの容量は何mlなのかなど、立ちはだかる難問を解いていくのも楽しい作業でした。
なお本書は、「スギナミ・ウェブ・ミュージアム」オンラインショップで購入可能です。