「ささま書店」時代から働くスタッフの野村さんは、荻窪店の品ぞろえについて「他の店が置いていないような本を意識して選んでいます」と話す。例えば、昔の実用書は今となっては役に立たないノウハウもあるが、新刊を扱う書店では手に入らない、面白く読める本だ。「昔を知るための手がかりでもある古書ですが、次に手に取る読者がどんな人か想像できるような本がいい古書かな、と思っています」
備え付けのカゴに何冊も本を入れた客が、レジでスタッフとの会話を楽しみながら購入していく。また、買い取りを希望する客の姿もある。「本を持ち込むお客さんは、捨てるのに忍びなくて、もらい手を探す感覚なのだと思いますよ」という野村さんの言葉に、優しさが感じられた。
ネット販売にも力を入れている。「本屋の少ない地方の方にも古書を提供していきたい。ネット販売は目当ての本をすぐに探せるので便利です」。一方、店頭では好みの本を見つけるまでの過程も楽しんでほしいとほほ笑む。「買うつもりがなくても、目当ての本の隣の一冊をひょいっと選んじゃうような、宝探しみたいな面白さを味わっていただけるとうれしいです」。良い意味で整理し過ぎていない、バラエティーに富んだ本が並ぶこの店は、宝探しを楽しむのにもってこいといえよう。
荻窪店の公式Twitter(ツイッター)は、「開店しました」という書き出しでほぼ毎日更新されている。新入荷した本やおすすめ情報などの紹介とともに、日々の雑感が書かれており、荻窪の季節のうつろいも感じられる。
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