高円寺駅―阿佐ケ谷駅間の高架下に、イベントなどの開催場所として使っている「高架下空き倉庫」がある。元は倉庫として利用されていた場所で、当時の内装がほぼそのまま生かされた独特の雰囲気が人気だ。広さは144㎡。空調は無いがトイレ・洗面が使え、ピアノ・プロジェクター・机などの備品の貸し出しも可能である。
空き倉庫の利用は、株式会社ジェイアール東日本都市開発(以下、都市開発)による「阿佐ヶ谷・高円寺プロジェクト」(以下、AKP)の取り組みの一つで、単なるイベントスペースでなく、地域の人と人がつながる場所になることを目指している。その願いから、イベント主催者は「阿佐ヶ谷・高円寺に縁や愛着がある団体・個人」に限られ、「地域の方が誰でも参加できるオープンな内容であること」が利用条件となっている。
2018(平成30)年9月に、空き倉庫を活用して都市開発主催の映画祭が行われた。その後、2019(令和元)年9月の「高架下芸術祭」からは、地域の人たちと協力した取り組みに切り替え、これまでにワークショップやマルシェなどさまざまなイベントが開催されている。
2022(令和4)年5月には、空き倉庫の活用を含めたAKPの取り組みが国土交通省「第1回まちづくりアワード(実績部門)」(※)特別賞を受賞。AKPの北田さんは「空いていた場所を地域の人が利用してくれたことと、運営体制が評価されました。受賞そのものより、つながりがある人たちにうれしい報告ができたことの方が意味がありました」と話す。
AKPの関根さんは「高円寺や阿佐谷は、駅前だけでなくどこを歩いても新しい発見があるのが楽しいです。そして、皆さん自分たちの街が大好きですよね。そんな地域の方々と何ができるか、これからも一緒に考えていきたい」と話す。「あのシャッターアートのところね」と、近隣からの認知度も徐々に高まりつつあるという。「今は高架下という一本の直線ですが、空き倉庫を中心に、地域のつながりの輪が街じゅうに広がっていく。そんな拠点にしたいですね」
利用にあたって
高架下空き倉庫でイベントを開催するには、まずは施設の公式ホームページから問い合わせを行う。企画概要書や面談による審査の結果、内容に問題なければ開催可能だ。
また、公式ホームページではイベントの開催情報も随時アップデートされているので、気になるイベントを探してみてはいかがだろうか。
※まちづくりアワード:国土交通省が特に優れたまちづくりの取り組みや計画を表彰するもの