女子美ガレリアニケは、女子美術大学・女子美術大学短期大学部(以下、女子美)杉並キャンパス1号館1階に併設されているギャラリーだ。東高円寺駅から徒歩約8分、閑静な住宅街の中に溶けこむように建つ女子美の校舎の一角にある。「社会とつながる」をテーマにさまざまな展覧会を開催しており、2022(令和4)年にはリニューアルオープン10周年を迎えた。
また、地域の芸術振興に努め、ワークショップや講演会の開催など、多様な活動を行っている。
展覧会は年間約8回開催され、どれも無料で観覧できる。女子美出身のアーティストのほか、在校生や教員の作品を紹介する展覧会もあり、同大学の多彩な魅力を発信している。また、大学間の学術交流による海外の学生の作品など、他ではなかなか見られない個性的な企画展示を楽しむことができる。2022(令和4)年4月に行われた「IOGI チェコ・コミックに描いた日本の日常」では、西ボヘミア大学の学生が日本を描いたコミックスの原画などを紹介して話題を呼んだ。
展覧会によっては関連するワークショップやトークイベントなどが行われ、見るだけでなく参加もできる体験型ギャラリーになるのも魅力だ。教育プログラムとして子供向けのイベントが行われることもある。ワークショップやイベントは予約が必要な場合があるので、公式ホームページやInstagram(インスタグラム)などで確認してほしい。
展覧会の企画・展示、ワークショップなどのイベントの企画・運営は、ギャラリーに所属する学芸員(キュレーター)が行っている。「2015(平成27)年度にスタートした“ニケキュレーターズセレクション”というシリーズ企画展では、学芸員が注目する次世代を担う若手アーティストにスポットを当てています」と学芸員の大東さんは話す。同シリーズは、絵画・立体作品・絵本など、さまざまなシーンで活躍する女子美出身の新進気鋭のアーティストを紹介する展覧会として好評を得ている。「展覧会では作品が一番よく見えるように展示位置やライティングの工夫をしていますので、学芸員がどのように考えて展示しているのかを想像しながら鑑賞していただくと面白いかもしれません」
ガレリアニケには地元のファンも多いという。「今は何を展示しているの?と、散歩のついでにのぞきに来てくださる方や、定期的に立ち寄ってくださる方もいます」。ふらりと立ち寄り、初めて見る作品や作家と出合うのは地元ならではの楽しみ方かもしれない。「学芸員は愛着のある収蔵作品を親しみを込めて“この子”と呼ぶことがあります。展覧会を見る時は、“この子”と呼びたくなるようなお気に入りの作品を探してみるのもお勧めですよ」
また、同館には女子美術大学歴史資料展示室があり、女子美創立の1900(明治33)年からの歩みを知ることができる。女子美染織コレクションなどの企画展示も行われているので、併せて見学するのもよいだろう。
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女子美術大学歴史資料室(外部リンク)