2015(平成27)年2月16日、荻本さんはすぎなみKarutaプロジェクトの前身であるカラーパーティーすぎなみの代表として、区民に公募を行い「すぎなみグリーンかるた」を制作した。「かるたは日本人にとって身近な遊びで、言葉・絵・読みの音などとても総合的な表現のもの。そこに杉並のことや、緑の多い杉並のイメージを込めたかった」と語る。この取り組みには、幼稚園児から80代までの約100名が参加し、楽しい作品に仕上がった。
その後、東京高円寺阿波おどりの希望連で障害者の住みよい杉並をつくる取り組みを行っていた髙橋さんと、障害者向けの料理教室を開催していた種岡さんが賛同し、すぎなみKarutaプロジェクトが発足した。
「障害者や外国人との交流の中で課題に直面するたびに、柔軟な発想で対応してきました」と髙橋さんは言う。
車いす利用者がかるたを取れないことに気づき、ビニール傘に絵を描いてもらいお手玉を投げて当てる遊びを発明。ビニール傘のかるたはオリパラソルと名付けた。イベントでは、広げて置くだけでなく、つるして飾ることもでき、来場者の目を楽しませてくれる。
荻窪のネパール人学校「エベレスト・インターナショナルスクール・ジャパン」でかるた制作を行った際には、どうやって作り方を教えるか思案したが、ボランティアで参加していた外国人留学生が自ら先生となり教えてくれた。
読み札と絵札は同じ人が作らなくても良いし、字余りでも字足らずでも、同じ頭文字が二つあっても良い。かるたというツールがシンプルな仕組みだからこそ、遊びの幅が広がっていった。
2022(令和4)年には、杉並区区制施行90周年の記念として、区立図書館3館(南荻窪、下井草、今川)からの依頼により「すぎなみ郷土かるた」を協働制作。荻窪や南荻窪周辺にゆかりのある人物・自然をテーマに、各図書館で開催したワークショップの参加者らと少しずつ作り上げた。図書館に人が集まらず当初の予定より遅くなったが、9カ月かけて全ての絵札と読み札が完成。2023(令和5)年3月13日、阿佐谷地域区民センターで行われた「まちはく2023」でお披露目された。
3人は杉並まちづくり交流協会の主要メンバーでもある。今後も、杉並区で暮らす外国人や障害者と交流しながら、より良いまちづくりに貢献していきたいと目を輝かせる。「区民の皆さんには、一度、“すぎなみ郷土かるた”で遊んでほしい。オリジナルかるた作りに関しては、絵札と読み札にこだわらなくても良いと思っている。例えば、鳥の声の音声を流して、その鳥の写真の札を取るなど。そんな自由な発想で楽しみながらかるたを作っていきたい」
多様な人たちがみんなで交流して楽しめるツール作りはまだまだ続く。「すぎなみ郷土かるた」の(そ)の読み札を自ら実践する3人の今後の活動にも、とても興味が湧いた。
▼関連情報
杉並まちづくり交流協会(外部リンク)
「カラーパーティーすぎなみ」
https://green-party.jimdofree.com/
「広報すぎなみ(令和3年度)5月15日号 第2302号」
https://www.city.suginami.tokyo.jp/koho/pdf/r03/1065799.html
「Karuta 2020」
https://karuta2020.tokyo/
「すぎなみKarutaプロジェクト【令和3年5月15日】すぎなみビトMOVIE」
https://www.youtube.com/watch?v=y4npSnrf0wI