東京都立荻窪高等学校

1クラスは最大で30名。基礎・基本を重視した授業を行う(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

1クラスは最大で30名。基礎・基本を重視した授業を行う(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

区内唯一の三部制定時制高校

東京都立荻窪高等学校(以下、荻窪高校)は、三部制の定時制高校だ。 Ⅰ部(8時35分~12時)、Ⅱ部(12時40分~16時05分)、Ⅲ部(17時30分~20時55分)の中から一つの部を選び、4年間かけて卒業に必要な74単位の修得を目指す。授業は1コマ45分。Ⅲ部生は、希望により授業前に給食(無償)を食べられる。
馬飼野(まかいの)校長は「朝から夕方までずっと授業を受けるハイペースな生活が合わない生徒もいます。本校は、自分の時間を確保しながら学びたい人にぴったりな学校だと思います」と話す。
1935(昭和10)年、前身校の東京市杉並高等家政女学校が開校し、1950(昭和25)年に普通科の東京都⽴荻窪⾼等学校となる。その後2007(平成19)年に全日制課程を廃止し、定時制課程(単位制)になった。

荻窪駅から徒歩約5分の好アクセスも魅力の一つ(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

荻窪駅から徒歩約5分の好アクセスも魅力の一つ(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

開校当初から引き継がれる校章。中心の梅から6本伸びる杉は杉並を表している(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

開校当初から引き継がれる校章。中心の梅から6本伸びる杉は杉並を表している(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

いろいろな学びが単位につながるカリキュラム

荻窪高校ならではの授業「演劇入門」「アニメーション基礎」「茶道」の三つは、近隣地域に住む特別専門講師(※1)が指導を行い、卒業に必要な74単位に含めることができる単位の修得も可能だ。楽しみながら本格的なスキルを身に付けることができる授業なので、生徒からも人気があるそうだ。
生徒が自ら学びを深める「荻探(おぎたん)」では、「総合型選抜」による入試に生かせるようなハイレベルな内容の探究テーマを学ぶことができる。2022(令和4)年度の卒業後の進路は、大学、短大、専門学校などへの進学が約63%、就職が約15%となっており、生徒の進む道はさまざまだ。アルバイトや仕事、ボランティア活動などをしながら通う生徒も多く、自分のペースに合わせたスケジュールを組んで学んでいる。

「アニメーション基礎」は、アニメ制作会社が多い杉並ならではの授業だ(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

「アニメーション基礎」は、アニメ制作会社が多い杉並ならではの授業だ(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

修学旅行は入学年度によって旅行先や時期が異なる(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

修学旅行は入学年度によって旅行先や時期が異なる(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

「学校に通いたい」思いをサポートする体制

2022(令和4)年度に校内体制に「総合支援部」が設置され、2023(令和5)年度には、東京都教育委員会から不登校支援の「校内別室指導推進事業実施校」に指定された。教員、養護教諭のほか、定期的に来校するスクールカウンセラー、精神科校医、ユースソーシャルワーカー(※2)が、さまざまな事情を抱えた生徒や保護者への支援を行っている。
他にも通級による指導(※3)、日本語に不安を抱える生徒への日本語指導、車椅子の生徒のための手すりやエレベーターの設置など、一人一人に合わせて細やかに対応している。総合支援部主任の根岸先生は「苦しい状況の中、生徒たちが話しに来てくれて、本当にありがとうという思いで接しています」と穏やかな表情で語った。

校内別室ではオンライン授業を受けて単位修得につなげることもできる

校内別室ではオンライン授業を受けて単位修得につなげることもできる

「小さな事でも相談に来てほしいです」と話す根岸先生

「小さな事でも相談に来てほしいです」と話す根岸先生

部活動や地域活動でチャレンジする機会を得る

部活動は三部合同で、16時05分から17時05分まで行われる。2023(令和5)年度は、21の部と4つの同好会が活動しており、バスケットボール部、バドミントン部、陸上部、自転車競技部などは、「全国高等学校定時制通信制体育大会」(※4)に出場している。2021(令和3)年度の大会では、バドミントン部が優勝を果たした。
地域活動では、荻窪地域区民センター協議会などから声を掛けてもらい、近隣施設で行う行事やイベントに生徒たちが参加する機会を得ている。また、杉並区ボランティアセンターの情報誌「ボラン・て」などを利用し、積極的にボランティア活動を行って単位を修得している生徒もいるという。鈴木副校長は「自分の好きな事を見つけてどんどん取り組んでほしいです」と話した。

▼関連情報
都立荻窪高等学校(YouTubeチャンネル)(外部リンク)

体育館やトレーニング器具を使いながら活発に部活動が運営されている(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

体育館やトレーニング器具を使いながら活発に部活動が運営されている(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

子ども食堂「おぎよん」の壁画を描いている美術部員(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

子ども食堂「おぎよん」の壁画を描いている美術部員(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

基本情報

馬飼野校長からのメッセージ
本校は「一人一人の生徒に希望を持たせ、一人一人の努力を希望の実現につなげる」ことを大切にして、さまざまな事情を抱えた生徒たちにも「わかりやすい授業」「面白い授業」を目指し、教職員が日々努力しています。通信制高校とは違い学校に通うことが前提になりますが、支援もできるかぎり行っています。自分のペースを大切にして、荻窪高校で共に学んでいきましょう。

教育目標
「立志」「相和」「向上」

主な地域活動
・授業での「ボランティア体験」として1年次生が東京都立善福寺川緑地を清掃(例年)
・近隣施設の行事・イベントに参加(生徒会、美術部、軽音楽部)
・近隣の子ども食堂への貢献(授業で栽培した野菜を寄付・壁画制作)

イベント情報 ※詳細は公式HPを参照
荻高祭(文化祭):例年9月
学校見学会:例年8月
学校説明会:例年11月から1月

生徒数(2024年度) 
4学年合計:約612名 

※1 特別専門講師:荻窪高校が独自に依頼した教員免許を有しない専門講師。授業には教員が補助として参加している
※2 ユースソーシャルワーカー:社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持ち、若者を取り巻くさまざまな問題の解決と軽減をサポートし、自立した社会人として成長するための支援を行う人のこと
※3 通級による指導:不登校や障害などで教室に入ることができない生徒のために、別室での学習や学校に慣れるための居場所を提供して、徐々に登校を促す指導のこと
※4 全国高等学校定時制通信制体育大会:定時制や通信制高等学校に通う生徒のためのスポーツの総合競技大会

生徒たちが一番盛り上がる行事、荻高祭(文化祭)の展示の様子(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

生徒たちが一番盛り上がる行事、荻高祭(文化祭)の展示の様子(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

給食は事前予約が必要。人気メニューは「からあげ」だ(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

給食は事前予約が必要。人気メニューは「からあげ」だ(写真提供:東京都立荻窪高等学校)

DATA

  • 住所:杉並区荻窪5-7-20
  • 電話:03-3392-6436
  • FAX:03-3398-3284
  • 最寄駅: 荻窪(東京メトロ丸ノ内線)  荻窪(JR中央線/総武線) 
  • 公式ホームページ(外部リンク):https://www.metro.ed.jp/ogikubo-he/
  • 取材:加藤智子
  • 撮影:加藤智子
    写真提供:東京都立荻窪高等学校
    取材日:2024年05月20日
  • 掲載日:2024年06月24日