2022(令和4)年3月に開店の紅茶専門店Tea for You(ティーフォーユー)は、永福町駅から徒歩約7分、永福町駅北口商和会を進み、中ほどを東に入った所にある。店名は、ジャズ好きなオーナーの樋脇(ひわき)さんが「Tea for Two」という曲からインスピレーションを得て名付けた。
店舗は元々美容室だったが、一部を残しつつ改装。白を基調にしたシンプルな内装に、バウハウス(※1)出身デザイナーの照明や英国から輸入したラウンドテーブルを据えて、落ち着いた雰囲気にした。
樋脇さんは、開業する前、政府開発援助の仕事でインド・ネパール・スリランカに滞在し、そこで紅茶のおいしさを知った。その後、英国留学で紅茶を飲みながらの社交文化に触れ、「この社交体験を店で提供したい」と思ったことが開業のきっかけだったという。
店内のカフェスペースでは、10種類以上のドリンクメニューをそれぞれに合うスイーツと共に楽しめる。また、ギフトコーナーでは30種類以上の茶葉やティーバッグ(紅茶・ハーブティー)を販売。好みに合わせた種類をすすめてくれる。すべてのドリンクと一部のスイーツはテイクアウトに対応しており、ギフトは公式オンラインショップでも買える。
おすすめの紅茶は、グレンバーン茶園(インド)のセカンドフラッシュ・ダージリン(※2)。苦みがなく飲みやすいのが特徴で、紅茶の香りと自然な甘さが広がる「アールグレイのプリン」(580円)がよく合う。ギフトで人気なのは茨城県産の「和紅茶 いずみ」。繊細で優しい味わいが特徴で、ストレートで飲むのがおすすめだ。
店では、区立小学校の職業体験を受け入れている(※3)。開店当初からの親子客が、夏休みの宿題でTea for Youの絵を描いてくれたことや、教育関係者が来店したことをきっかけに始まった。「”紅茶のアフォガード”を描いてもらったのが、意外でうれしかった」と依瑞美さん。生徒たちには、トニックウォーターを注ぎ入れると青から紫に色が変化する「バタフライピーフロート」が人気だそうだ。
また、地域に密着した活動として、樋脇さんと依瑞美さんは2024(令和6)年に杉並消防団第一分団に入団。樋脇さんは2025年の杉並消防団消防操法大会に出場する予定だ。「最初は永福町のことを知らなかった。お店を通して、お客さんや地域との関わりから知ることが多くありました」と樋脇さん。依瑞美さんも、「お店を通してつながりができていくのが楽しい。そのつながりを生かして、イベントやスイーツの共同開発などで永福町を盛り上げたい」と語った。
※1 バウハウス:1919(大正8)年、ドイツのヴァイマルに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校
※2 セカンドフラッシュ:春、夏、秋の年3回が旬となるインド・ダージリン産茶葉の中でも、夏摘みの茶葉のこと
※3 2024(令和6)年現在は、2校からの職業体験を受け入れている
日本紅茶協会
https://www.tea-a.gr.jp/shop/
グレンバーン茶園
https://glenburnfinetea.com/pages/about-us
クリトリア(チョウマメ・バタフライピー)の基本情報(NHK出版)
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-1315