方南町の商店街で生まれた、喉も心も潤すクラフトビール
方南町駅の2番出口を出て、商店街を3分ほど歩くと左側に、レールをイメージした模様が印象的な外観の店舗がある。ここは方南ローカルグッドブリュワーズ。2022(令和4)年より、クラフトビールの製造から販売までを手がけている。
もともとは方南町の商店街振興として始まったプロジェクトだった。そこで出たアイデアが膨らんで、クラフトビール造りがスタート。東京都千代田区で障がい者を雇用したカフェを営むソーシャルグッドロースターズ(一般社団法人ビーンズ)が醸造手法を担当し、コーヒーを抽出する際のノウハウをビールに応用した唯一無二の「方南レッドエール」などの商品が生み出されている。
麦を煮てホップを加え、発酵させるすべての工程を店舗の奥の醸造所で行っている。プロの醸造士と共に、障がいを持つ人々が地域で働く「ローカルグッド」(※1)な環境が特徴だ。当初は他の作業所から通ってもらう施設外就労の場だったが、2024(令和6)年2月に就労継続支援B型事業所(※2)としての認可を取得。仕込みの日には3人ほどが交代で作業を担当する。「ビール造りでは仕込みはほんの10分の1でしかなく、ほとんどは設備の洗浄や殺菌などの衛生管理。皆さん丁寧に仕事をしてくれます」と、サービス管理担当者の細田さん。「丹念に心を込めてビールを仕込んでいます」。
店舗で販売されている黄色いオリジナルグラウラー(炭酸飲料やビール用の気密性の高い水筒)は、開栓時はキャップに付いたバルブを開けることで、炭酸が噴きこぼれることなく開けられるすぐれものだ。
モルトの挽き目を細かく調整したり、ホップの組み合わせにこだわったりと、品質を高める努力を重ねた結果、2024(令和6)年10月には全国から造り手の集まるクラフトビールのコンクール「インターナショナル・ビアカップ2024」で受賞(※3)を果たした。就労継続支援B型事業所であることも話題になった。「評価をいただけてうれしいです」と話す細田さんの笑顔に、皆で作り上げてきたという誇りがにじむ。
方南ローカルグッドブリュワーズは方南銀座商店街のさまざまな祭りに出店しており、当初の目的であった街のにぎわいづくりに一役買っている。また、近隣の飲食店でも提供されており、駅に近いスーパーマーケットの店頭にも並んでいるので、ぜひ探してみてほしい。そして一杯の背後にある作り手たちの真摯な姿に思いをはせながら、その喉越しの良さを楽しんでいただきたい。
○商品
・ローカルグッドエール:ビールらしい華やかな飲みやすさ
・方南レッドエール:ロースト麦芽を使用
・方南I.P.A:コクとすっきりした苦み
・パンエール:芳醇な飲みごたえ
・ユニバーサルエール:低アルコール(1.0%未満)
・季節のビール
○販売場所
・方南ローカルグッドブリュワーズ
・方南町小売店各所
○問い合わせ
方南ローカルグッドブリュワーズ https://www.honanlocalgood.jp/
※1 ローカルグッド:社会に対して良いインパクトを与える活動や製品、サービスの総称であるソーシャルグッドに対し、方南ローカルグッドブリュワーズではローカルグッドを地域貢献と定義している
※2 就労継続支援B型事業所:通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う場所(厚生労働省の定義より)
※3 インターナショナル・ビアカップ2024:クラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会)主催。オーストラリアンスタイル・ペールエール部門で「方南I.P.A.」が銀賞、イングリッシュスタイル・サマーエール部門で「ローカルグッドエール」が銅賞を受賞
ソーシャルグッドロースターズ https://sgroasters.jp/
クラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会)https://www.beertaster.org/