電気は1915(大正4)年ごろ、ガスは1936(昭和11)年ごろと推測される。
東京電力株式会社に情報提供をお願いしたところ、「当時の杉並区は豊多摩郡の和田堀之内村、杉並村、井萩村、高井戸村にあたります。電気事業要覧の記載によると東京電灯の供給としては1915(大正4)年分に「豊多摩郡(和田堀之内村及高井戸村内ノ一部ヲ除ク)」という記載がされており、少なくとも1915には供給が開始されていたものと思われます」とのことだった。
ただし、電気事業要覧には1915年以前に「豊多摩郡」地区には電気供給は開始されていた記載もあるため、上記の4つの村に供給がなかったという確証はとれないとのことだった。というのも、その時期の電気供給地域の記載は「豊多摩郡」とあるだけで、それ以上くわしくは触れられていないからだ。
こういったことから、現在の杉並区にあたる地域の電気供給については、1915年、もしくはその数年前あたりからと推測されている。
余談だが、1915年というのは、東京電灯、日本電灯、東京市電気局による三電協定が締結された時期であり、各電力会社による需要獲得の競争が激しかったらしい。これによって、供給地区が一気に増えることになったのだろう。
一方、東京ガス株式会社に調査をお願いしたところ、「1936年時点で杉並地区に営業所があったことまでは確認できていますが、現在の杉並区のどこの町名にいつガス導管が敷設されたのかを示すデータなどにつきましては、確認できませんでした」とのことだった。
それまで調理に必須だった竈が、その後、どんどん姿を消し、1960年あたりではほとんど姿を見かけなくなったとのデータもある。ガスは多くの人々に歓迎され、急速に広まっていったのは確かなようだ。
水道に関する調査結果はまだ入手できておらず、暫定ながら電気が一番早かったのでは、、、と推測される。