学校にはオリーブ、ダンコウバイ、ヒマラヤスギ、ロウバイ、キリなど、さながら植物園のように様々な樹木が植わっています。理科教材として、情操教育のため、記念植樹、シンボルツリー、鳥の糞に入っていた種から勝手に・・・など、様々な理由がありますが、学校樹木は目的があって校舎の周りに機能的に植えられたのがその始まりです。
日が当たる校舎の南側には、夏は日差しを防いで涼しく、冬は葉を落とし日光で教室が暖かくなるようにイチョウなどの落葉樹が植えられました。校舎の裏側や民家との境は火事が起こっても燃え移らないようにサンゴジュなどの常緑樹が、校庭の周りには風で砂が飛んでいかないように大気汚染や風に強いカイヅカイブキなどの針葉樹が植えられました。
個別の機能的な樹木を植えることが一段落すると、卒業式や入学式など式典を演出するためのサクラや、その学校を象徴するような樹木が卒業生や同窓生の手で植えられるようになりました。ケヤキやヒマラヤスギ、メタセコイアやイチョウなど、長生きで大きくなる木がその代表です。こうして長年かけて目的を持って植えられてきた樹木でしたが、校舎が建て直される時や、落ち葉の処理に困ってなどの理由で伐(き)られることも増えてきました。
さて、各学校にはいろいろなシンボルツリーが植わっています。例えば、杉並第六小学校のカシノキ(シラカシ)や大宮小学校のイチョウ、馬橋小学校のヤマザクラなどで、それぞれの樹木は在校生や卒業生、教員に大切に育てられています。
樹木は人の一生よりはるかに長く生きるため、極端な話、その場所が学校ではなくなってしまっても伐らない限りは残っています。この長寿性こそが、その学校を卒業した人が、自分の孫を連れて一緒に思い出を語ることができる装置としての樹木の偉大なところです!
ほんの少し目を離せば町並みがどんどん変わって行ってしまう都市生活…、そんな中に生きる子どもたちや我々にとってこそ、長く変わらずそこに居てくれる、どっしりとした樹木の存在が必要なのです。