荻窪南口仲通り商店街にある『F.IWAMORI』は今年で30年目(創業1986年)を向かえる喫茶店である。名前の由来は、元々この場所にあったイワモリ書店から『IWAMORI』、そして『F』は店主の名前のF、FlowerのF、FireのFを含むさまざまなFからとったそうだ。Fireは店主の趣味であるキャンドルの意味もある。
メニューには「自分の子どもが食べても問題ないもの」という一貫したコンセプトがあり、シフォンケーキ、焼き菓子、アイスクリームとすべて手作りである。卵や小麦粉、バターは厳選した素材を使用。作り手の顔が見えるので安心して食べられる。おすすめはアイスクリームがのったシナモントースト。リッチな味で、コアントローというオレンジリキュールが、手作りアイスの隠し味だと教えてくれた。家庭的ではあるが家庭では食べることのできない、正に喫茶店の味と言えよう。
何よりも心がけているは、居心地の良い店作りだ。買い物の帰宅途中、家庭人の顔になる前の一服としてリッラクスする空間を演出している。「なかなか心のゆとりが持てない今だからこそ、ふと家庭のグチが言えたりする喫茶店が大事なんじゃないかな」と染谷さん。フランチャイズにはない店主不変の良さがある。
荻窪を離れてしまったお客さんも時々訪れ「やっぱり、シフォンはここが美味しい」と言ってくれる。『F.IWAMORI』は、そんな多くの人に愛される喫茶店だ。