姉役でツッコミ担当の渡辺江里子さんが先に住み始め、妹役でボケ担当の木村美穂さんがそのあとを追うようにして阿佐谷に引っ越して来た。それならばということで、一緒に暮らし始める。北側と南側とどちらにも住み、かれこれ10年以上。
好きな場所のひとつが、旧中杉通りの界隈。昔も今もよく歩いている。のんびりとした雰囲気が自分たちにぴったりと感じている。
店構えにも歴史の重厚さがにじみ出ている八幡煎餅。ここでは、お店のあられ、赤飯、おもちをいただいたり、ご主人の実家の長野から送られてくる野菜や果物をおすそわけしてもらったり。本当によくしてもらっているのだと嬉しそう。いわく、「わたしたちの身体の3分の1は八幡煎餅さんからの差し入れなんじゃないか(笑)」とのこと。ゆうやけ市のときだけ限定で販売される大学イモも大好き。
イタリア仕込みのジェラートが自慢のシンチェリータは、前を通るときにぺこりと挨拶してしまう、あこがれの店。ロケ当日は暑かったので、美味しさもいつも以上。入れないときは指をくわえて通り過ぎるんです、と二人は笑う。
阿佐谷に二人で一軒家を建てることが夢。そして家族や友人たちと一緒にのんびり暮らしたいと願っている。
そんな二人が阿佐谷に暮らし始めて以来、何度も通っている店のひとつが「川秀」(※2016年閉店)。ご夫婦で40年以上にわたって静かに続けている、寿司とうなぎを提供する小さな店。
ご主人に「二人は姉妹なの?違うんだ。でもそっくりだよねえ。一緒に『阿佐ヶ谷姉妹』なんていって何か始めたらいいのに」などと言われたことがコンビ名を考案した直接のきっかけ。デビュー前、そんなことを渡辺さんがブログに書いていたところ、お笑いライブ出演の依頼が入る。そのときから、「阿佐ヶ谷姉妹」と正式に名乗るようになった。その意味で、まさにご主人が二人の名付け親といってもいいだろう(ちなみに今は、姉妹でないのに姉妹を名乗っていることもあり、見た目重視ということで同じ美容院に通っている)。
阿佐ヶ谷姉妹の二人は、食事をおまけしてもらったり無理な出前をしてもらったりと至れり尽くせりな対応に、貧乏芸人だから優しくしてくれていたと思っていた。ところが、このロケまでご主人もおかみさんも二人が芸人だとはまったく知らなかった。純粋にお客さんを大事にする思いがあっただけ。コンビ名のことといい、これまでの心遣いといい、二人はお礼をしたいとずっと思っていた。
この日も、来るたびにいつも食べているという、うな重、ほうれん草のおひたし、いくらおろしを注文。ピンクの衣装を着て川秀のうなぎが食べられて、「とても嬉しい!」と喜びもひとしお。
「人よりも動物とコミュニケーションを取るほうが好き」という木村さん。好きな店、思わず立ち寄ってしまう店には、必ずといっていいほど動物がいる。八幡煎餅もしかり、川秀もしかり。
五十嵐青果には、キャバリア犬のバジルがいる。いつもはよくなついてくれるが、ロケのときはピンクの衣装のせいか、近づいてもすぐ逃げられてしまった。「今度は普段着で遊びに来るからね~」と残念そうな二人は、ここでトマトやみかんをよく買うのだそうだ。
ちなみにここにはイケメンの店員さんがいて、お店の息子さんとずっと思っていたのがこのロケのときにアルバイトの男性とわかる。その彼がバジルを抱えて来てくれたので、記念にパチリ。(ご主人によると、デビュー前の松平健もここでアルバイトをしていた。役者志望の気のきく若者にずっと恵まれてきた、とご主人。)
阿佐谷の名物ネコ、八百勇のレタスもやっぱり気になる。いつも遠目に見つつ、レタスと会うために野菜を買うこともある。この日もレタスに会いに行き、ご主人に抱かれて出てきてくれたものの、寝起きだったのでご機嫌ナナメ。代わりといってはナンだが、近くの不動産屋に移動してレタスのぬいぐるみ(?)前で撮影する。
この日はお馴染みの衣装であるピンクのドレス姿で街を歩いてみた。ライブなどでも「舞台衣装は阿佐谷で調達」と公言しているとおり、このドレスはダイヤ街の流行屋で購入。
おかみさんも、阿佐ヶ谷姉妹がドレスを買う店という売り出しを検討中。阿佐ヶ谷姉妹プロデュースのドレスが誕生する日も近いかも? ちなみに木村さんはプライベート用のバッグもこちらで購入。公私に渡って贔屓にしているとのこと。
特に渡辺さんだが、最近、歌の達人としての知名度も高い。これは、潜在的な歌の上手さもさることながら、日ごろの努力の成果が現れたということでもある。その練習の場となっているのが、カラオケ・オリーブ。ここには、出演する歌を競い合うテレビ番組と同じシステム(ライブダムというシステムで、点数がつくもの)が2機入っていて、それで練習をしている。部屋が埋まっていたりすると受付で「いまちょっと・・・」と何も言わなくても教えてくれるほど。昔はアルバイトの合間をみてたった30分でも練習していたこともあったな、と渡辺さん。阿佐谷仕込の歌声を、これからも響かせ続けて欲しい。
ロケを終えて
旧中杉通りを阿佐谷図書館から南下するように歩いたこの日は、どこに立ち寄っても声をかけられ、二人の地元での人気が定着していることが強く感じられました。駅前に帰ってきたころはちょうど高校生の下校時間にあたったため、ひっきりなしに記念撮影を求められるほどでした。
阿佐谷を愛し愛されるそんな仲間が増えたことを、嬉しく思います。