永福町駅の屋上庭園「ふくにわ」から新宿の高層ビル群を眺めると、右手前にこんもりとした森が見える。この森は「和泉熊野神社(いずみくまのじんじゃ)」と、隣接する別当寺(※1)だった龍光寺だ。都会にして、この緑。神職も「静けき緑に囲まれた当社へ一歩入れば、穢(けが)れた心がお清めされるでしょう。」と語る。年2回行われる「茅の輪神事(※2)」では、半年に一度境内に設置される茅の輪をくぐると、その半年間の罪や穢れが取り除かれるという。茅の輪神事は誰でも参加できる。
社伝によれば、1267年に熊野川を御神体とする現在の和歌山県の熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)の御分霊を祀(まつ)ったのが創建。境内からは縄文時代の土器や古墳時代の土師器(はじき)が出土している。現在の社殿は、1863年に造営され、1871(明治4)年に修復された。また、徳川三代将軍の家光が、鷹狩の途中でここで休んだとの言い伝えが残り、手植えとされる松の大木がそびえ立っている。
半年ごとの茅の輪神事を待たずとも、一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居とくぐれば、心が洗われる気分を体感できるかもしれない。
▼関連情報
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※1 別当寺:神仏習合が行われていた時代に神社を管理していた寺
※2 茅の輪神事:ちのわしんじ。茅(かや)で作った輪をくぐることで罪や穢れを除き、心身が清らかになるよう祈る神事
御祭神
天御中主命(あめのみなかぬしのみこと)
伊邪那岐命(いざなぎのみこと)
伊邪那美命(いざなみのみこと)
境内に7日前後まで茅の輪(ちのわ)が置かれており、そこを回ってから参拝するのが恒例となっている。
お守り、破魔矢などの授与:1日0:00~01:30、8:00~17:00、2日・3日8:30~16:30、4~15日9:00~16:00