映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」がある建物の3、4階で、1998(平成10)年のビル開業当時から営業しているフレンチベースのレストラン。店の名前は、ビルのオーナーが、ファンである宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」から付けた。3階は、丸窓から光が差し込む落ち着いた雰囲気。窓からのぞくと、建物は意外に高さがあり歩いている人が小さく見える。中央線も見えるが、その音はここまではあまり届かず静か。4階は天井の一部がガラス張りとなっており、緑が飾られている温室のような空間である。
料理は、女性客が多いことを意識して、野菜たっぷりでヘルシーなメニューを用意している。初夏のある日の「オードブルの盛り合わせ」の「トウモロコシの冷たいポタージュスープ」は、常磐味来(じょうばんみらい)というトウモロコシの品種が使われており、驚くほど甘いが、中に入ったウニの塩味がその甘さを引き締めていた。和歌山県産のあゆを使った「あゆのリエット」は、大きいバゲットにたっぷり塗ってもっと食べたいおいしさである。盛り合わせの内容は、だいたい1週間ごとに変わる。
「鹿児島県串木野天然真鯛のポアレ」「岩手県ハーブ豚ロースの網焼き」などの主菜も、その時々の旬の素材を国内外から直接取り寄せて使っている。どれもボリュームがありながら、素材本来の味を生かしたあっさりした味付けで食べやすい。パンは白神山地で採れる天然酵母を使った自家製で、毎日昼と夜2回焼いている。ワインの種類も多く、「麦やマンゴーのような香り」「エキゾチックなフルーツのような香り」など、説明を読んでいるだけでも楽しく、グラスワインもあるので気軽に試せる。
予約なしでも入れなくはないが、ランチタイムや土日などはとくに混むこともあるので、なるべく電話予約してから行った方がよいだろう。丸みのある建物の緑あふれる外階段を4階までくるっと歩いて上るのが素敵だが、エレベーターが3階までなので、足に自信がない方は予約時に依頼すれば3階に席を用意してもらえる。
・ランチ平均:2,100円~、ディナー平均:3,100円~