旧田端村関口(現成田東三丁目付近)周辺で継承されてきた関口囃子(せきぐちばやし)。威勢のいい早間(※1)の囃子で、自然と祭り気分を盛り上げてくれる。まだ区内に田畑が広がっていた昔、祭りの知らせを遠くまで伝えようと願っていた先人の思いを、今も引き継いでいるという。
囃子の始まりは明治期で、1948(昭和23)年に地域の若者たちが早間船橋流(※2)を源流として関口囃子を名乗った。同時期に面踊り(※3)も始め、田端神社例大祭などで披露していたが、その後、一時活動が途絶える。1975(昭和50)年頃、地域の町会や商店会の若手有志が中心となって、夏祭りの実行組織として友栄會(ゆうえいかい)を結成。その中で、かつて関口囃子を行っていた人々が、再び関口囃子を復活させるに至った。現在は友栄會はやし連中として、友栄會の祭りや正月の獅子舞まわりなど、地域の行事を中心に活動している。
面踊り
友栄會はやし連中は面踊りも継承しており、2017(平成29)年11月に開催された「第33回 杉並郷土芸能大会」(※4)では「舟遊び」という面踊りを好演。船頭役の笑い面と客役のひょっとこ面の滑稽(こっけい)な動きで、観客を沸かせていた。
※1 早間(はやま):囃子のテンポで速いことを表す言葉
※2 早間船橋流:千歳村船橋(現世田谷区船橋)の内海軍治朗が確立した、テンポの速い囃子
※3 面踊り:笑い、ひょっとこ、おかめ、狐などの面を付けた踊り
※4 杉並郷土芸能大会:杉並区内の郷土芸能団体が里神楽や祭囃子、獅子舞などを披露するイベント。毎年秋に開催
Q:友栄會はやし連中のメンバーと活動
A:現在の会員数は20数名で、小学生も含めて10代から30代が中心です。練習は月2回、町会の会議室で行っています。囃子には楽譜はないので、すべて口伝えです。太鼓の練習は、昔は竹を叩いていましたが、今は古いタイヤを使って周辺住民の方々に配慮しながら練習しています。
Q:関口囃子が見られる行事・祭礼
A:毎年8月に成田東の主に五日市街道付近で行われる友栄會の例大祭や、毎年6月に田端神社で行われるお囃子奉納会などでご覧になれます。また、お正月には町内を回って獅子舞の門付け(※5)も行っています。
Q:今後について
A:囃子の継承では後進の育成が最大の課題です。私たちは、地域の子供たちを成田児童館に集めて教えたり、教えた子供たちに区立東田小学校地域のお祭り(あそびフェスティバル)で囃子と獅子舞を演じてもらったりしています。これからも関口囃子を継承していきたいので、もっと活動の場を広げて、多くのファンを作っていきたいと思っています。
※5 門付け(かどづけ):人家の門前で芸を披露すること
「祭りばやしのひびき 杉並の祭礼と郷土芸能」杉並区立郷土博物館
第33回杉並郷土芸能大会パンフレット