牛乳のおいしさが凝縮された、宮野さん自慢のソフトクリーム(写真提供:宮野雄一朗さん)
南阿佐ケ谷駅から、青梅街道を荻窪方向へ歩くこと約5分。有限会社 宮野乳業(以下、宮野乳業)を訪れる人々のお目当ては、店頭で販売している「牛乳屋さんのソフトクリーム」だ。濃厚な牛乳がそのままクリームになったかのようなコクのある味わいと、さっぱりした後味。その絶妙なハーモニーが、幅広い客層の人気を呼んでいるようだ。
宮野乳業は、1940(昭和15)年よりこの地で営業している老舗の牛乳販売店。ソフトクリーム販売を始めた代表取締役の宮野雄一朗さんは三代目だ。「昨今、宅配牛乳を利用する人は減少し、配達のメインは健康飲料やジュースになっているので、牛乳をベースにした商品を提供しようと思い立ちました。来店して牛乳のおいしさに触れてもらえたら」と、店の入り口横に、ソフトクリームの販売スペースと小さな椅子を置いた休憩場所を作り、2019(平成31)年3月28日から販売を始めた。ソフトクリームだけでなく、瓶入り牛乳も購入してその場で味わうことができる。
「牛乳屋さんのソフトクリーム」のおいしいさの秘密は、素材と製法にある。ベースになる牛乳は、生乳をしぼったままの状態のノンホモ牛乳(※1)に、パスチャライズ殺菌(※2)を施したもの。それに甘味や生クリームを追加して、ソフトクリームの原料になる液状のミックスが作られる。「当店のミックスは、牛乳のおいしさを生かすために生クリームと砂糖の量を控えたオリジナルレシピです。使用しているソフトクリームマシンは、ノンホモ牛乳に最適のイタリアのカルビジャーニ社製です」。牛乳のプロが、良質の生乳を求め、その本来の味を最大限生かして生み出したのが「牛乳屋さんのソフトクリーム」なのだ。「これからも、地域の人々に愛してもらえる店を目指し、地に足をつけてやっていきたいです。ソフトクリームが、訪れた人においしさだけでなく思い出も提供できればと願っています」と宮野さんは、思いを語ってくれた。
牛乳の味を知ってもらうための商品なので、フレーバーは1種類のみだが、「カップ」 (480円)と3種類のコーンがチョイスできる。コーンは、甘みがなくソフトな食感の「レギュラー」(480円)のほか、ハード生地で甘みと歯ごたえのある「ワッフル」(520円)、グラノーラの生地を使用したザクザクの食感が特徴の「グラノーラ」(550円)がある。コーンの素材によって異なる食感や味を楽しむのもいいだろう。
※1 ノンホモ牛乳:脂肪球を均質化するホモジナイド処理を施さない牛乳。搾ったままの状態の脂肪球が残る
※2 パスチャライズ殺菌:普通の牛乳よりも低い温度で行う殺菌方法