2016(平成28)年から早稲田通り沿いで営業を開始し、優しい味わいの醤油ラーメンで近隣の人たちの舌を魅了しているらーめん いろはや。
人気メニュー「らーめん」の第一印象は、昔ながらの中華そば。具はチャーシュー(肩ロースとバラロール)にメンマ、海苔、なると巻とシンプルだ。しかし、箸をとって食べ始めると「今」の技術を駆使し工夫が凝らされていることに気づく。甘さを感じさせる透明なスープは、豚骨をメインに鶏ガラ、昆布、煮干しからだしを取り、すっきりした後味が特徴。麺は中くらいの太さのストレート麺で、スープに合う絶妙な太さを研究し、粉の配合と水分量を調整して作り上げた自慢の自家製麺だ。「らーめん」の麺は150gとやや多めだが、ふわっとした舌触りと適度なコシがあり、するっと食べてしまう。「軟らかく茹(ゆ)でているわけではなくこういう麺なのですが、麺固めでとおっしゃるお客様がたまにいて」と、店主の鬼頭正美さんは苦笑い。麺固めだと生茹でになるので、お断りしているそうだ。大盛無料なのは、お腹いっぱいになって帰って欲しいという心意気である。
鬼頭さんは自分の店を持つ夢を抱いて新潟から上京し、中目黒のラーメン店「春木屋 めんめん」で2年修業した後、現在の店を開いた。
高円寺と阿佐谷の間、どちらの駅からも遠い立地。しかし、住宅街に近い早稲田通りの路面店だけに、近隣に住む人、近くで働く人などの客足は途絶えず、リピーターは増えていった。車で通りがかった人が、看板が気になり後日訪れてくれた、ということもあったそうだ。「近くにあったらいいなあ、と自分で思うような店にしたかったんです。小さくても目が行き届いて、家族で来られるような店です」。土日には夫婦が間の席に子供を座らせて仲良くラーメンを食べる姿があり、自転車に乗ったカップルが来て席に着くことも多い。今では鬼頭さんが思い描いた店になっている。
「独立の夢は叶(かな)いましたが、さらにおいしいラーメンを目指して進化させています」