「なみすけだよ~。区民ライターさんと杉並区の交流自治体を取材してるんだ。今回は新潟県小千谷市に行くよ~」
杉並区と小千谷市は、井草に「小千谷学生寮」があったことから交流が始まり、2004(平成16)年に「災害時相互援助協定」を締結している。
2020(令和2)年10月、区民ライターと一緒に1泊2日の取材に出かけたなみすけ。東京駅から上越新幹線と上越線を乗り継いで、2時間半ほどで小千谷駅に到着した。
「景色を見ていたら、あっという間に着いちゃった!」
まずは小千谷市役所を訪問し、観光交流課の安達さんと観光協会の阿部さんから、見どころや特産品について教えてもらう。冬の雪原に熱気球が浮かぶイベント「おぢや風船一揆(いっき)」の説明のときに、阿部さんが気球の操縦免許を取得中と聞き、感心するなみすけたち。市役所の壁には、勇壮な伝統行事「牛の角突き」ときれいな錦鯉(にしきごい)のポスターが張ってあり、目を引いた。
市役所の取材が終わると、ちょうどランチタイム。
「名物の“へぎそば(※)”を食べに行ってみよう~!」
地元の方に教えてもらった、市役所近くにある「わたや」で、喉越しの良いへぎそばを堪能した。
▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の交流自治体>小千谷市
杉並区>杉並区の交流自治体>小千谷市(新潟県)(外部リンク)
小千谷市ホームページ(外部リンク)
越後 牛の角突き(外部リンク)
わたや(外部リンク)
「お腹いっぱいになったところで、観光スポット巡りに出発~!」
最初に向かったのは、錦鯉を間近で観賞できる「錦鯉の里」。もともと食用として飼っていたコイの中から突然変異で色の付いたコイが生まれ、改良を重ねて今のような錦鯉が誕生したという。その美しい姿に、なみすけもうっとり。
「まさに“泳ぐ宝石”だね」
すっかり錦鯉について詳しくなったなみすけ。車で移動中、道端にブルーシートを敷いて開催している錦鯉の品評会に遭遇した。
「何気ない路上でも錦鯉の品評会が見られるなんて!すごく身近な生き物なんだね~」
続いて「地域づくり支援団体 こしゃる」を訪問。市民と市政をつなぐ活動をしている団体だ。
「地域情報発信や、イベントを開催してるんだって」
事務局長の髙木さんが着ていたTシャツも、デフォルメされた錦鯉の柄。多種多様なコイの美しい姿に引かれて、自らデザインしたそうだ。Tシャツに書かれた「Everyone is different, everyone is special.」というキャッチフレーズも、いろいろな種類や模様のコイがいることに触発された髙木さんのアイデア。
「とってもかっこいいデザインだね~」
その後、なみすけたちが訪ねたのは、築約160年の古民家を農家民宿に活用している「おっこの木」。南部の山あいの集落・若栃(わかとち)村にあり、建物は国登録有形文化財に指定されている。施設を運営している「Mt.ファームわかとち」代表の細金剛さんによると、ここで結婚式を挙げたカップルもいるとのこと。
「昔のまま残っているなんてすごいなぁ。タイムスリップした気分~」
「おっこの木」のすぐ隣には、堅牢(けんろう)な蔵が立っていた。入ってみると、おしゃれなバーがあって、なみすけはびっくり。バーテンダーは細金さんの息子さんで、東京でのバーテンダー経験もあり、腕前は本格的だ。
夕方、山本山の見晴らしの良い場所に、夕焼け空の撮影に行った。
「あかね色の信濃川がきれい~」
帰り道の車中では、たまたま花火が上がるのを見ることができた。小千谷市は花火会社が2つあり、毎年9月には世界一大きい四尺玉の花火が上がる「片貝まつり」が開催される。また、市民有志と関係者が連携して立ち上げた「おぢや産花火打ち上げプロジェクト」があり、個人の記念日や祈願のための花火を打ち上げてもらうことが可能だ。
▼関連情報
Mt.ファームわかとち>「おっこの木」事業紹介(外部リンク)
片貝まつり(外部リンク)
小千谷市>おぢや産花火打ち上げプロジェクト(外部リンク)
翌日は早朝から取材開始。まずは、幕末に新政府軍と旧幕府軍らによる激戦のあった地とされる「朝日山古戦場」へ。山道を車で移動中、すれ違った人に道順を聞くと「クマが出るから気をつけて」と言われた。
「えーっ!クマが出るの!?」
車を停め、そこから古戦場まで20分ほど山道を登る。到着したときなみすけはヘトヘトだったが、見晴台から景色を眺めて元気になった。
古戦場で歴史に思いをはせた後、山を下りて、小千谷の織物「小千谷縮(ちぢみ)」の資料が展示されている「織之座」へも行ってみる。織物体験ができる工房で、最も原始的な織機といわれる「いざり機」を使った織り方を見学した。
「いざり機を使える職人さんは少ないんだって。すごいなぁ」
その後、「おぢやクラインガルテンふれあいの里滞在型農園」に向かう。ここは長期滞在しながら田舎暮らしができる施設だ。ハロウィンが近かったので、農園の中心にある管理棟では、各戸の利用者が栽培したカボチャを展示していた。
「ぼくも、おいしい野菜を作ってみたいなぁ~」
▼関連情報
小千谷市>朝日山古戦場(あさひやまこせんじょう)(外部リンク)
小千谷市>おぢやクラインガルテンふれあいの里滞在型農園(外部リンク)
小千谷織物同業協同組合>小千谷織物工房「織之座」(外部リンク)
次に向かったのは、山本山にある「おぢゃ~る」。宿泊施設と研修室、芝生広場を持つ「市民の家」と「小千谷信濃川水力発電館」の複合施設である。
「大きな広場だね~。ここでバーベキューしたいな」
広場は、ちょうど「おぢゃ~る祭り×JR小千谷第二発電所30周年イベント」の真っ最中。なみすけも屋台で腹ごしらえしてから、施設を回る。信濃川発電所の弓削さんが、JR東日本の電力の一部は信濃川の水を利用している発電所で作られていることを教えてくれた。「小千谷水力発電館」には水力発電の体験型ジオラマや、電車運転シミュレーターがあり、なみすけも子供たちと一緒にチャレンジ。
「出発進行~!電車の運転士さんになった気分~」
いよいよ最後の取材。「小千谷国際交流の会」の会長・山岸さんと奥さまが、「おぢゃ~る」まで来てくれた。区民ライターが、小千谷市民と外国人との交流についてインタビューをする。
「小千谷市には、いろいろな国の人も遊びに来るんだね~」
取材中に山岸さんが、偶然イベントに来ていた前会長の鈴木さんを見つけて、紹介してくれた。昔、井草の「小千谷学生寮」に住んでいたそうで、当時の思い出話を聞かせてもらえた。
取材を通し、いろいろな人と仲良くなれて、なみすけは大喜び。小千谷市の魅力もたくさん知ることができた。
「冬になると辺り一面雪景色になるんだって。気球イベント“おぢや風船一揆”も楽しそう。今度は冬に遊びに来てみたいな~」
▼関連情報
市民の家・小千谷信濃川水力発電館「おぢゃ~る」(外部リンク)
※へぎそば:織物を作る時に糊(のり)として使う、布海苔(ふのり)という海藻をつなぎに使ったそば。「へぎ」と呼ばれる大きな四角い器に盛りつけられている