隠れ家のような雰囲気の2階カフェスペース。片桐さん手作りのドライフラワーが飾られている
2021(令和3)年5月にオープンしたcafe Cwtch(カフェ クチュ)は、西荻窪駅南口から徒歩約2分。西荻平和通りに面しているが、ひそやかな佇(たたず)まいだ。1階がテイクアウト、2階が6席のカフェスペース。店名の「Cwtch」にはウェールズ語で「相手に寄り添う、隠れ家、食器棚」などの意味がある。
オーナーの片桐さんは、パン屋巡りやベーグル作り、陶芸が好きな会社員だった。仕事と楽しみを分けていたが、コロナ禍で日々の生活に制限がかかったことをきっかけに、思い切って楽しみを仕事にしようと決心し、カフェを開業した。
焼き菓子は、シナモン生地にバナナとチーズの入ったマフィンや、よもぎとピーナツきなこクリームの厚焼きビスケットなど、どれも素材の味を生かした仕上がりだ。厚焼きビスケットは季節に応じて60種類以上のバリエーションがあり、平日は3種類から、土日は4種類から選べる。「どれを食べてもおいしい、今日は何かな?」と楽しみに来る客も増えているので、早い時間に売り切れることもある。
コーヒーは、杉並区西永福の「自家焙煎(ばいせん) たまじ珈琲」特選の豆を使用。焙煎ならではの高い香りと個性的な風味が味わえる。和紅茶や手作りのスパイスシロップを使ったチャイなど、こだわりのドリンクメニューも充実。
片桐さんは、西荻窪の陶芸教室に通っていたこともあり、家族や友人、陶芸仲間の応援を受けて、なじみのある好きな地域に店を立ち上げることができた。「焼き菓子作りは、生地を伸ばして型をとり形にしていくなど、ベーグルや陶器作りの工程と通じるものがある」という。店では自作の皿も使用しており、客の求めに応じて、2021(令和3)年秋に陶器の展示販売会を試みたところ、とても盛況だった。最近は近隣の店主たちとも交流を深めつつある。「これからも周りの人々の温かい思いをつないでいきたい」と語ってくれた。