店主の大江健太郎さんが2019(令和元)年12月、高円寺にオープンしたカレー専門店「大江カレー」。鶏肉、魚介、野菜の3種のカレーを提供している。
中でも「鶏肉のカレー」(1,000円)は、開店後も試行錯誤を重ね続け進化する一皿。スパイスは、コリアンダーを中心としたパウダーのミックスに、クミンはあえてホールを使用し、口元に運んだ際の香りも重視。カレーベースはガーリックを足してコクをアップ。鶏肉を国産のハーブ鶏に替えてからは、肉のうま味もより楽しめるようになった。北海道産「ななつぼし」と「コシヒカリ」をブレンドして炊いたライスとの相性も抜群で好評を博している。
「昔ながらのカレーライスの現代版のような、スパイスをきっちりと使いつつ、しっかりとご飯に合うカレーにしたい」と大江さん。小麦粉不使用なのでスパイスの香りが際立つと同時に、カレーベースにも鶏肉にもしっかりとした味わいがあって、食べ進むほどに食欲が湧いてくる。
「魚介のカレー」(1,200円)と「野菜のカレー」(1,100円)は「旬のものを使いたい」という理由で、それぞれ月替わりの具材で提供している。人気の具材は、魚介はブリやサバ、野菜はジャガイモやマッシュルーム。カレーベースも具材に合わせて開発したレシピを使う。「魚介のカレーは複数の乾物をミックスしてだしをとっています。野菜のカレーはバターを多めに加えているので一般的なベジタブルカレーよりもしっかりした味付けになっていると思います」。また、野菜のカレーは、2017(平成29)年に南インドのタミル・ナードゥ州の古都マドゥライで出合った「いろんな具材が使われている黄色いカレー」が日本のカレーと似ていて、その印象を元に作っているとのこと。
ドリンクは、コールド2種とホット1種を用意。どれもほんのりと甘く「辛いカレーを食べた後に甘いドリンクで一息つくという、辛さと甘さのコントラストを楽しんでもらいたい」
新宿の人気店「curry 草枕」のキッチンで働きながら、インドや国内で料理教室に通うなどのカレー修業を重ね、2018(平成30)年に間借り営業のスタイルで自分の店を始めた大江さん。他には下北沢なども候補だったが、最終的に高円寺での開店を決めた。「小さい飲食店が多く、街全体が一つの大きなレストランみたいな感じがした。この街でなら、自分がおいしいと思うカレーライスを受け入れてもらえるんじゃないかと思い、ここに決めました」
高円寺にはすでに個性的なカレー店やエスニック料理店などがあるが「大江カレーは基本的にはごはん屋さん。いつ来てもおいしいカレーとドリンクで一息つける、そんな店が理想です」と、流行を追わず地域に根差し長く愛される店を目指す。