久我山駅北口から徒歩約1分、人見街道沿いにある本格イタリアンレストラン「テンネンイシガマクガヤマキッチン」は、2020(令和2)年10月にオープンした。
オーナーの杉田さんは20代の頃、家具の修理職人の見習いとしてイタリアに滞在していた。仕事の傍らピザの食べ歩きをするのが好きだったという。帰国してからは、故郷の国分寺の駅前再開発が始まった事がきっかけで、建て替えに関わり飲食店2軒をオープンさせた。町が好きで「ヒト・コト・モノ」をつなぐ役割を持つようになり、杉田さんは「ツナギビト」と呼ばれるようになった。
久我山駅近くにある「庄司石材建材店」のオーナーと交流があり、ショールームの建て替えに関わったことで、石をコンセプトにした物を作ってみようと誕生したのが、日本産天然石(※)を使った石窯だ。その後、商店街振興組合久我山商店会会長である荻野さんがデザイン設計し、「テンネンイシガマクガヤマキッチン」がオープンした。
ランチコースは4種類(A~Dコース 1,320円~2,970円)から選べる。プリモピアット(イタリア料理で第1の皿を意味する)は天然石窯ピザ、本日のパスタ、絶品リゾットから一品選べるので、家族や友人と違う種類を選んでシェアするのもいい。天然石窯ピザは、複数の小麦をブレンドした生地で作り、外側はカリッと、内側はモチモチした軽い食感だ。一番人気の「本気のマルゲリータ」は、とろーり溶けたモッツァレラチーズが口の中で広がっていく。熱々のうちに食べたい一品だ。
「セコンドピアット(魚または肉料理)付きのランチコースは、ディナーで提供しているものと同じ料理を出すので、とてもお得ですよ。ディナーはメニューが豊富になりますが、さっぱりとした味のビアンケッティ(しらすのピザ)と、天然石窯で焼く自家製サルシッチャ(40㎝のソーセージ)を味わってほしい」と杉田さんは話す。
杉田さんは、長野県下條村とも縁があり2拠点生活をしている。その土地の物を店に取り入れたいという思いから、自ら農家に行き、味を確認して商品を選んでいる。その一つ、「ムラノコメ(南信州下條村)」は、素材のシンプルな味を引き出すリゾットにぴったりだ。白米と玄米があり、店で購入することもできる(各1合248円)。下條村のカネシゲ農園から直送するシードル(リンゴ酒)は、さっぱりした味がピザの濃厚さに合うと言う。また、飯田市のリンゴ農家・井坪恵美子さんから仕入れる「すりおろしりんごジュース」(605円)は、すりおろしたリンゴの果肉が口の中でしっかりと確認できて、甘さもちょうどいい。「“すりおろしりんごジュース”を作っている農家さんが少ないので、なかなか味わえないと思いますよ」と杉田さん。
テイクアウトのピザは、10種類以上(842円~1,944円)から、フォカッチャサンドは、イタリア産生ハムを使った「プロシュート」をはじめ、3種類(648円)から選べる。
店内でも人気のクガヤマサラダ(842円)、イシガマラザニア(1,080円)、ミラノ風カツレツ(972円)など、アラカルトも充実している。店の近くには神田川沿いの遊歩道があるので、テイクアウトして散歩の途中で休憩しながら本格イタリアンを気軽に楽しむのもいいだろう。
「久我山は、こぢんまりとした商店街の雰囲気がいいですね。商店街や近所の人たちが協力してくれて、店をオープンすることができました。食事をする場所としてだけではなく、町と人とをつなぐ店にしていきたい」と語る杉田さんの「ツナギビト」としての役割が続いていく。
※日本産天然石:茨城県産芦野石(あしのいし)と秋田県産男鹿石(おがいし)