株式会社ライデンフィルムは、アニメの企画・制作会社。代表取締役の里見哲朗(さとみ てつろう)さんに話を伺った。
当社は株式会社ウルトラスーパーピクチャーズというグループの1社で、もともと株式会社サンジゲンと株式会社トリガーというグループ会社と上荻の同じビルで仕事をしていました。業務拡張でトリガーが区外へ移転したあと、その場所を引き継いでライデンフィルムを拡張して今に至っています。
荻窪はアニメ関連の会社が集まっており、交通路線的にもアニメ制作にとって利便性が一番高いと思います。アニメは作るのに何百人も関わるので、意思疎通の点からも、みんなが同じ場所にいて集まりやすいメリットは大きいです。関西方面に実家がある人たちや、地元で仕事をしたいという人たちとの巡り合わせもあって、京都や大阪にもスタジオを構えていますが、制作ニーズは圧倒的に東京が多いです。
基本は面白い作品を作ることです。予算やスケジュール、スタッフなど、さまざまな制約がある中で、面白いものを目指しています。
原作の漫画や小説の中にはストーリーやせりふが全てそろっていますが、それでも脚本家さんがいて、アニメのために脚本・コンテを作り、逐一検証するという作業工程自体は「リーマンズクラブ」などオリジナル作品の制作と変わりません。むしろ、原作に描かれていない、いわゆる「すきま」部分はアニメが補わなくてはいけない。そこを僕らは正しく判断しようと努力しています。
区民の方は杉並が「アニメのまち」と言われてもわからないかもしれないですね。僕らも普通の会社員ですし(笑)。ただ、荻窪中心にすごい量(※)のアニメが作られています。アニメを作る人がたくさんいる、僕らが杉並を拠点にしている理由はそれなのです。できれば、多くの人に作り手に回ってほしいですね。決して華やかではなく地道で大変な作業だけど、それは報われる大変さです。出来上がった時はうれしいし、やりがいは大きいですよ。
※「アニメ産業レポート2021」(一般社団法人日本動画協会発行)によると、2020(令和2)年の調査では全国のアニメ制作に関わる企業811社のうち85.3%が東京に立地し、杉並区には最も多い149社が集積している
「アニメ産業レポート2021」(一般社団法人日本動画協会)