野菜の旬を感じるパンに出合える(写真提供:草鞋ベーカリー)
代表の鈴木伸弥(すずき しんや)さんは、阿佐谷と荻窪で飲食店を2015(平成27)年頃から経営しており、減農薬など店で使う野菜にはこだわってきた。新業態でのチャレンジを検討している時に、野菜を主役にしたパン屋「Farm to Bakery」(東京都渋谷区)の経営者と知り合い、その店のパンのおいしさに感動して「旬野菜が主役のパンを届けることで、農家さんと地域の人を“紡ぎたい”」と、新しい店のコンセプトを決めたという。
「紡ぐ」という言葉から草鞋のイメージが浮かび、経営する飲食店「サンダルキッチン」もちょうど履物が店名になっていたことから「草鞋ベーカリー」を店名とし、2022(令和4)年3月に開店した。
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主役はパンというよりも野菜だ。野菜は「朝収穫したものを、農家さんが直接店へ持ってきてくれることもある」くらい新鮮なもので、「野菜料理をパンで食べてもらう」感覚で作っているという。
取材をした12月には、カブやショウガ、セリと三つ葉など、パンには珍しい食材を使った商品が店頭に並んでいた。
野菜の旬ごとに、春は「苺のクワトロフォルマッジ」(380円)、夏は「ズッキーニの明太チーズ」(340円)「しらすとジャンボししとうのペペロンチーノ」(340円)、そして秋は「椎茸とポルチーニ茸ソースのパン」(390円)というふうに、新作が登場する。
定番で人気があるのは「15品目野菜のスパイスカレーパン」(330円)。ビーガン対応で、野菜は食感を生かすために大きめにカット、炒める順番なども考慮して丁寧に作っている。
食材の組み合わせが新鮮なパン「チーズに溺れた柿」(380円)は、糖度の高い富有柿を4種のチーズで焼き上げたもの。蜂蜜とブラックペッパーがアクセントになっていて、ワインにも合いそうだ。
そのほか栄養価の高いビーツを使った食パン(430円)など、まだ日本ではあまりなじみのない野菜を使ったものもある。
訪れるたびに野菜の旬を感じ、どんなパンに出合えるか楽しみになるベーカリーだ。