高千穂大学

アリーナ棟の7号館は入学式や卒業式の会場にもなる

アリーナ棟の7号館は入学式や卒業式の会場にもなる

かつては商科大学。受け継がれる実学重視の教育方針

高千穂大学は、1914(大正3)年に開校した「高千穂高等商業学校」が前身。私学としては日本初の高等商業学校であり、当時は、1903(明治36)年に創立された高千穂学園(※)の幼稚園・小・中学校との一貫教育が行われていた。1950(昭和25)年に商科大学に昇格後、経営学部を設置した2001(平成13)年に「高千穂大学」に改称した。
「「実学教育」「国際教育」は「小人数教育」によって実現可能である」とした教育観に基づく教育を行い、2023(令和5)年には、高千穂学園創立120年を迎える。キャンパスは西永福駅から徒歩約7分、大宮八幡宮に隣接する閑静な住宅地にある。

▼関連情報
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メイン施設の1号館は誰もが心地よく学べる環境を目指した

メイン施設の1号館は誰もが心地よく学べる環境を目指した

「高千穂高等商業学校」上棟式。創始者は川田鐵彌先生(前列右から3番目)(写真提供:高千穂大学)

「高千穂高等商業学校」上棟式。創始者は川田鐵彌先生(前列右から3番目)(写真提供:高千穂大学)

「誰も取り残さない」少人数教育で、やりたいことに挑戦

現在は商学部、経営学部、人間科学部、大学院(経営学)で構成される。
人間科学部3年生の右京さんは「授業の約7割が30名以下の少人数制で、多くの先生に顔や名前を覚えてもらえるため、わからないことがあればすぐに聞きに行けます。挙手もしやすく、積極的に参加できる授業が多い」と語る。
下級生と上級生との距離が近いのも特徴。1年生必修の「ゼミⅠ」では、新入生が上級生から履修登録のサポートを受ける。メールの送り方なども教わるため、大学生活をスムーズに過ごせるという。「困ったときにすぐそばで相談に乗って背中を押してくれる先生や先輩、事務の方々がいる高千穂大学だからこそ、さまざまなことに挑戦できていると思います」と右京さん。

1号館内。デザイン性がありフリースペースも充実している

1号館内。デザイン性がありフリースペースも充実している

図書館に入ると学生選書コーナーが目を引く(杉並区民も利用可)

図書館に入ると学生選書コーナーが目を引く(杉並区民も利用可)

杉並区民にも開かれたゆとりある学び場

キャンパスはゆとりある学習環境が整い、学生からは「自習スペースが多くあり、静かな場所で勉強ができる」「居場所に困ったことがない」などの声が上がる。自宅にインターネット環境がない学生をサポートするため、ノートパソコンやWi-Fi(ワイファイ)ルーターの貸し出しも行っている。
また、杉並区民の生涯学習の拠点としての機能も果たす。シニア聴講制度は、一般教養科目や、商学・経営学・人間科学の分野の授業を、半期4単位を上限に聴講できる制度だ。このほか、杉並区住在・在勤・在学の18歳以上を対象とし、「公開講座」や「経営学特別講義」、「総合科目」の一般聴講なども実施。興味関心のある分野の新たな知識を得る機会として、多くの区民に利用されている。

公開講座では、地域にも関わる最新の研究が発表される

公開講座では、地域にも関わる最新の研究が発表される

学生食堂とカフェテリア。リーズナブルなメニューはどれも人気

学生食堂とカフェテリア。リーズナブルなメニューはどれも人気

ゼミで培う就職後を見据えた実践力

少人数制を大切にする高千穂大学の一大行事は「ゼミナール発表会」だ。2年生から履修する専門ゼミで研究した成果を班ごとに発表する学術大会であり、企画・運営も学生が主体となって行う。2022(令和4)年度は、5日間で過去最高134の班が参加した。多くのゼミはこの「ゼミナール発表会」を一つの目標に、日々探求力やプレゼン力を養っている。
人間科学部の長谷川ゼミでは時には外部講師や卒業生を招きながら、子供の居場所や生活に関する研究を行っている。長谷川教授は「ゼミの記録をしっかりまとめることが、社会人でも役立つ記録力の体得につながります。ゼミで実践力はついているので、就職に向けても自分で動くことができるんです」と話す。第一志望の企業から内定を獲得した大久保さんは「普段のゼミで、面接にも対応できるマナーや言葉遣いが身に付きました」と振り返った。

ゼミ活動の様子。学生は最初に前回のゼミの記録を確認する(写真提供:高千穂大学)

ゼミ活動の様子。学生は最初に前回のゼミの記録を確認する(写真提供:高千穂大学)

学生が杉並の学習支援・居場所支援に参加

長谷川ゼミの学生は杉並区内でも積極的に活動している。学内制度を利用し区立小学校での教育実習に参加するほか、障害を持つ子供とその家族を支援する「特定非営利活動法人みかんぐみ」の活動や、学童クラブでの放課後支援、地域居場所事業での学習や生活支援などに個人で参加し、子供との向き合い方や学習現場の状況を日々のゼミで共有している。
学生が課題として挙げたのは、支援する側から子供と家庭に接近する「アウトリーチ」。活動に参加する中で、多様な支援がある一方、必要な人に必要な支援が届いていないと感じたという。角田さんは「活動が活性化するには、私たち大学生や地域住民の支援も必要」と話す。
また「実際に子供たちと関わる機会が多ければ多いほど、教職課程の学生も頑張ろうという気持ちになりますし、教員になってからのミスマッチも起こらないと思います」と山﨑さんは力強く話した。実際の仕事にも触れながら実践力を身に付ける高千穂大学の「実学教育」は、学生が自らの将来を切り開くことに結び付いているようだ。

長谷川ゼミ(第1ゼミ)の学生と長谷川万希子教授(後列左から3番目)(写真提供:高千穂大学)

長谷川ゼミ(第1ゼミ)の学生と長谷川万希子教授(後列左から3番目)(写真提供:高千穂大学)

基本情報

高千穂大学からのメッセージ
本学は、伝統である人格教育を軸に人としての感性を磨き、「課題解決」を中心とした実学を通して、大きな時代の変革の中で活躍できる人材を育てていくことを目指します(寺内一学長)。

建学の精神
常に半歩先立つ進歩性

主な地域活動
・区と杉並5大学の情報誌「すぎ☆キャン!」を発行
・区立小学校(永福小学校・浜田山小学校・済美小学校・杉並第二小学校・高井戸小学校)への学生派遣(教職インターンシップ)
・高千穂幼稚園でのサッカー授業のコーチ、各種催しの準備
・高井戸児童館の子供食堂準備活動参加
・すぎなみサイエンスフェスタでの運営補助
・障害者福祉会館まつりへの参加
・哲学研究団体「パイデイア」による「哲学カフェ」の定期開催

イベント情報
・オープンキャンパス:例年8回開催(3月、6月~12月)
https://www.takachiho.jp/admission/oc.html
・高千穂祭(文化祭):例年10月中旬に開催
https://www.takachiho.ac.jp/gakusai/
・ゼミナール発表会:例年11月上旬に開催
https://www.takachiho.jp/student/gakuyukai/seminar.html
・一般聴講可の講座・シニア聴講制度:詳細は以下を参照
https://www.takachiho.jp/public/kouza.html

著名な卒業生
青山節児(政治家)、有働敦(東邦ホールディングス社長)、﨑山一弘(シーボン社長)、戸田亮・三ツ間卓也(元プロ野球選手)、堀敏彦(アナウンサー)、菅原千瑛(プロ雀士)など

学生数
全学部合計:2,505名(うち大学院53名)

※高千穂大学、高千穂大学院、高千穂幼稚園を有する学校法人高千穂学園は、1903(明治36)年開校の高千穂尋常小学校が起源

緑の多いコミュニティ広場にはベンチもあり、息抜きにぴったりだ

緑の多いコミュニティ広場にはベンチもあり、息抜きにぴったりだ

グラウンドには部活動に励む声があふれる

グラウンドには部活動に励む声があふれる

DATA

  • 住所:杉並区大宮2-19-1
  • 最寄駅: 西永福(京王井の頭線) 
  • 公式ホームページ(外部リンク):https://www.takachiho.jp/
  • 取材:かめ山なほ子
  • 撮影:かめ山なほ子
    写真提供:高千穂大学
    取材日:2022年12月14日
  • 掲載日:2023年03月06日