上高井戸の細渕農園で育った夏ミカンを使用した「すぎなみ生まれの夏みかんマーマレード」。農園主の細渕良成さんは、「毎年100㎏以上の夏ミカンを収穫しています。果物としても売っていますが、売り切れずもったいない思いをしていたので、2019(平成31)年3月からマーマレードを作るようになりました」と話す。
原材料は夏ミカン、国産のてんさい糖、レモン果汁のみ。「製造所の方のこだわりで、ペクチン(ゲル化剤)を加えていません。そのため、作る鍋ごとに粘度が変わるので、瓶によって中身がトロトロだったりサラサラだったりします」と細渕さん。シンプルな原材料だからこそ、夏ミカン本来のおいしさを味わえる上、メーカーの画一的な商品と違い、一つ一つの商品に個性がある特別感もうれしいポイントだ。
マーマレードは、やわらかく煮た夏ミカンの皮がたっぷり入っており、食べ応えがある。てんさい糖を使用しているため優しい甘さで、「普段甘い物を食べない人も、これなら食べられると買っていかれます」と細渕さんは言う。パンやヨーグルトと一緒に食べるのはもちろん、紅茶に入れてフルーティーな香りを楽しむのもお勧めだ。
2023(令和5)年3月からは、同じ製法で作った「すぎなみ生まれの八朔ジャム」の販売もスタート。フルーツソースのようにさらっとしているが、ハッサクの果肉のつぶつぶがしっかり感じられる。苦味が少なく爽やかな風味だ。
どちらも、細渕農園の入り口にあるコインロッカー式販売機のほか、JA東京中央の「ファーマーズマーケット荻窪」と「ファーマーズマーケット千歳烏山」で販売している。夏みかんマーマレードは通年販売だが、ハッサクは夏ミカンの半分以下しか採れないため、八朔ジャムの販売は例年3月から半年間くらいとのこと。
細渕農園は江戸時代から続く農家で、畑の広さは1ha(10,000㎡)以上。年間約30種類の作物を育てており、夏はエダマメやトウモロコシ、冬はダイコンやキャベツが人気だという。「芦花公園駅までの通り道に販売場があるので、通りがけに買っていく方が多いです。これからも畑を続けてほしいと応援してくださる方がいるのも、ありがたいですね」
細渕さんは大学卒業後に就農してから27年以上農業を続けている。「同じように野菜を作っていても天候や害虫などの要因でうまく育たない年もあります。だから毎年1年生のようなつもりで作業しているんですよ」。後継者不足などで杉並区内の畑が減りつつある中、「農家仲間がいるから頑張れています。皆さん大変な思いをしながら作っているので、ぜひ私の所だけでなく、いろいろな農家の作物を食べてもらいたい」と語っていた。
○価格
「すぎなみ生まれの夏みかんマーマレード」1瓶150g 600円
「すぎなみ生まれの八朔ジャム」1瓶150g 600円(ファーマーズマーケットは680円)
○販売場所
・細渕農園
・ファーマーズマーケット 荻窪
https://www.ja-tokyochuo.or.jp/store/detail/market_ogikubo
・ファーマーズマーケット 千歳烏山
https://www.ja-tokyochuo.or.jp/store/detail/market_chitosekarasuyama
○問い合わせ
産業振興センター都市農業係:03-5347-9136