「飛行機に乗って、はるばる北海道に来たよ~!」
区民ライターと一緒に、交流自治体・名寄市(※1)を取材するなみすけ。羽田空港から6時45分発の旭川空港行きの便に乗り、バスと電車を乗り継いで、昼ごろに名寄駅に到着した。さすが北海道、30度超えの東京と違い、6月末でも涼しくて快適だ。
「交流自治体の南伊豆町、南相馬市、忍野村に行った時もお天気が悪かったけど、今日も小雨の予報…。ぼく、雨男なのかな?」
駅で、取材の案内役をしてくれる名寄市経済部交流推進課の滋野さんと合流し、まずは見どころを教えてもらうため、駅前交流プラザ「よろーな」に向かった。
▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の交流自治体>名寄市
杉並区>杉並の交流自治体>名寄市(北海道)(外部リンク)
「よろーな」は駅から約150mと近く、観光案内所のほか、特産品のギフトショップやレンタサイクルなどがあり、とても便利。
「名寄に来たら、最初にここを訪ねるといいね!あっ、なよろうがいるよ。久しぶり~」
なよろうは、頭がもち米、体が鏡餅のかわいらしい名寄市観光キャラクター。杉並区のイベント「すぎなみフェスタ」に遊びに来てくれたこともあり、なみすけと仲良しだ。
再会を喜んだ後、早速、NPO法人なよろ観光まちづくり協会への取材をスタート。職員の山田さんによると、名寄市の魅力の一つは雪の質の良さで、スキーやスノーボードはもちろん、スノーモービルで雪原や林道を駆け上がる「パウダースノーサファリ」も好評とのこと。近年は、野菜の収穫体験やカヌーサイクリングなど、冬以外の季節のアクティビティーにも力を入れているそうだ。
「カヌーサイクリング、面白そう~。ぼくもやってみよう!」
カヌーサイクリングのガイドの森さんから、クロスバイクの乗り方や道中のハンドサインを習い、さっそうと名寄の町を走り出したなみすけ。目的地は、約5㎞先にあるカヌー乗り場だ。
「道路が広くて真っすぐだから、自転車で走りやすいな~」
町を抜けるとコースは土手道になり、山々が見渡せて気分爽快。川辺に着いたら、カヌーを積んだ車が待機していた。
「道具も全部用意してもらえて、手ぶらで挑戦できてラクチン♪」
救命胴衣と長靴を身に付けて、いざ、天塩川(てしおがわ)下りに出発!カヌーの上では、北海道の名付け親でもある幕末の探検家・松浦武四郎さんが1857年にこの川を24日間かけて探検したことなど、名寄の歴史や天塩川について森さんが教えてくれた。しかも、なみすけが雄大な景色に夢中になっていたため、約1時間、森さんがほとんど一人でカヌーをこいでくれた。
「ありがとう。おかげで名寄の大自然をゆっくり楽しめたよ~!」
「なみすけ、元気が余っているならサバイバルゲームにも挑戦しませんか?」と森さん。2020(令和2)年から夏季限定で、スキー場の駐車場をサバイバルゲームの屋外常設フィールドとして活用しており、愛好家だけでなく家族連れにも人気だという。
「う~ん、ちょっと怖いけどやってみるね!」
エアガンを借りて、ドキドキしながらフィールドへ。廃タイヤやドラム缶の影に隠れながらそろそろと進むと…、
「うわーっ、見るからに怪しい人を発見っ!」
見事、BB弾が区民ライターにヒット!名寄ならではのアクティビティーを満喫して、1日目の取材が終了した。
取材2日目は、お餅が大好きななよろうと一緒に「株式会社もち米の里 ふうれん特産館」へ。名寄市の特産品は、なんといってももち米。代表取締役の堀江さんは「作付面積、日本一です」とニッコリ。やわらかくて、かたくなりにくいのが特長で、伊勢名物「赤福」にも使われているそうだ。コミュかるショップの「なみすけフェア」(※3)でも、「ふうれん特産館」の「ソフト大福」が限定販売される時があり、毎回完売する。
「あの、もっちもちでおいしい“ソフト大福”は、ここの工場で作っているのか~」
「北海道生クリーム大福」を土産にもらい、すぐ隣にある道の駅「もち米の里☆なよろ」へ。売り場には「ソフト大福」をはじめ、切り餅やおかきなど、もち米を使用した商品がたくさん並んでいた。
「こんなにいろんなもち米の商品を見たの、初めてかも~」
午後は、「なよろ市立天文台 きたすばる」へ。杉並区の小学生が「名寄自然体験交流」(※4)で訪ねるスポットの一つでもある。
うれしいことに「きたてらす望遠鏡」を見せてもらえることになった。暗い観測室に入ると、望遠鏡が設置された部屋の屋根がウィーンという音を立てて自動でスライドし、立っているなみすけごと、ゆっくりと屋外にせり出していく。まるでロボットアニメの秘密基地のようだ。
「なみすけ、発進っ!!」
ヒーロー気分のなみすけと望遠鏡が屋外に出たところで、いよいよ観測開始。…といきたかったが、あいにく空一面を厚い雲が覆っている。「晴れていれば昼間でも星が見られるのですが」と台長の村上さんも残念そう。
「代わりに、4㎞離れた市立病院の看板を望遠鏡で見せてもらったよ。まるで目の前にあるように見えてびっくり~」
天文台見学の後は、再び餅関連の取材。
「なんと、“なよろもち大使”に会えるんだって~。どんな人かな?」
わくわくするなみすけの前に現れたのは、優しい笑顔の水間さんだ。例年8月に行われる「なよろ産業まつり~もち米日本一フェスタ~」の「もちつきチャンピオン決定戦」で優勝し、大使に就任。しかも、4年連続優勝を誇った実力者だ!
「そのあとは負けちゃったの?」
「いや、4回も勝つと、いいかげんまたかと言われちゃって(笑)。殿堂入りして、“なよろ名誉もち大使”に昇格したんですよ」
現在は、学校の地域学習や餅つきイベントなどを通して、名寄産のもち米の普及活動に取り組んでいるそうだ。ちなみに、水間さんの次に大使になった方も4年連続優勝したという。大使になるとイベントなどで餅つきをする機会が増えるので、さらに上手になるからとのこと。
名寄取材3日目。今日は、名寄の素晴らしい景色を一望できるピヤシリ山の山頂に行く予定だが、朝からシトシトと雨が降っている。
「ぼく、それでも登るよ!杉並のみんなに頂上の様子を伝えるんだ」
熱く決意するなみすけのため、名寄市経済部産業振興室の池田さん・横山さんが、車で上がれるところまで連れて行ってくれた。だが、残りは自力で登らなければならない。クマよけの鈴をリンリン鳴らしながら、生い茂る草をかき分け、雨の中頂上を目指し前進するなみすけ。すごく大変そうだが、徒歩で登る距離は約2kmだ。
「はぁ、はぁ…、やっと頂上についたよ」
この日は雲が立ち込めて辺り一面真っ白だったが、晴れて運がいい日にはオホーツク海まで見渡せるという。
「冬は頂上までスノーモービルで駆け上がってくることができるんだって。楽しそう~!」
最後の見学先は名寄市北国博物館。館長の金田さんが館内を案内しながら、名寄の歴史や風土などについて詳しく解説してくれた。展示物には、カヌーサイクリングガイド・森さんが話していた松浦武四郎さんに関するものや、水間さんが出場したという「もちつきチャンピオン決定戦」の映像もあり、今回の取材を振り返る機会にもなった。
「本当に楽しい3日間だったなぁ~」
屋外には、SL排雪列車「キマロキ」編成が展示されている。ちょうど、キマロキ保存会の人々が補修のため塗装をしており、ピカピカの車両に乗ることができた。
「なよろうや名寄のみんなが親切にしてくれたから、北国でたくさんアツい体験ができたよ~。ありがとう!」
※1 1989(平成元)年、杉並区と名寄市(旧風連町)が交流自治体協定を締結。2006(平成18)年、風連町と名寄市が合併し、新名寄市が誕生。同年、交流自治体協定を再締結
※2 地域おこし協力隊:都市地域から過疎地域などに住民票を異動し、地域おこし支援や地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る地方公共団体の取り組み
※3 なみすけフェア:例年4月、10月に杉並区役所1階コミュかるショップで開催される、なみすけグッズなどの販売イベント
※4 小学生名寄自然体験交流:杉並区内の小学生20数名が、例年12月下旬に名寄市を訪ね、厳しい自然を体験するとともに、国内最大級の望遠鏡がある「きたすばる」で天体観測などを行う行事