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角川源義の百句

著:角川春樹(ふらんす堂)

俳人で角川書店創設者・角川源義(かどかわ げんよし 1917-1975)の作品から、長男の角川春樹が100句を選んで鑑賞(※)したもの。春樹は本書の執筆を終えた2018(平成30)年10月21日に、「この半年間、源義の遺影を前にして対話を続けた。父の句とここまで真摯(しんし)に対(む)き合ったのは、初めてのことである」と記している。
源義の第一句集『ロダンの首』から第五句集『西行の日』、およびそれ以降の作品が制作順に解説されており、読み進めながら源義の人生を追憶できる。「最初から完熟している」と評された16歳の頃の句から、角川書店の創設や次女との死別を経て、病床で詠んだ最後の句まで、情景と心情がまざまざと感じられる作品ぞろいで味わい深い。

おすすめポイント

源義は1955(昭和30)年5月に杉並区荻窪に邸宅を構え、生涯そこに暮らした。本書にも、亡くなる前年に詠んだ「昼顔のここ荻窪は終(つい)の地か」という作品が載っている。また、この家で初めて迎えた正月の句や、街に映画「雨情」を見に行った句も紹介されており、源義の荻窪での生活が垣間見える。
その後、この邸宅は遺族から杉並区が寄贈を受け、2009(平成21)年より角川庭園・幻戯山房(げんぎさんぼう)(すぎなみ詩歌館)として一般開放されている。源義の書斎兼応接間だった部屋や、四季折々の草木や花が楽しめる庭園の見学が可能だ。春樹が「源義の代表句」として選出した「ロダンの首泰山木は花得たり」に登場する当時のタイサンボクはすでにないが、新たな苗木が庭に植えられ、白い花を咲かせるまでに成長している。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の景観を彩る建築物>幻戯山房(げんきさんぼう)(すぎなみ詩歌館)
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立角川庭園

※鑑賞:俳句を読み解くこと

幻戯山房(すぎなみ詩歌館)。2009年、国の登録有形文化財に登録

幻戯山房(すぎなみ詩歌館)。2009年、国の登録有形文化財に登録

「ロダンの首」の句に詠まれた当時のタイサンボクの幹。書斎に置かれている

「ロダンの首」の句に詠まれた当時のタイサンボクの幹。書斎に置かれている

DATA

  • 取材:西永福丸
  • 撮影:西永福丸、MT
  • 掲載日:2024年04月08日