東京都立杉並総合高等学校

海外の姉妹校から来校した生徒に、和太鼓部が演奏を披露(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

海外の姉妹校から来校した生徒に、和太鼓部が演奏を披露(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

多彩な授業がある総合学科で自己実現を目指す

2004(平成16)年、都立高校統廃合のため旧永福高等学校と旧桜水商業高等学校が併合して開校した東京都立杉並総合高等学校(以下、杉総)。単位制の総合学科(※1)高校で、約150の豊富な履修科目がある。選択科目には、介護福祉基礎、ライセンスイングリッシュ、簿記、国際ボランティア、日本舞踊、フードデザインなどがあり、進路や興味に合わせて幅広い分野を学ぶことができる。
東京都教育委員会から海外学校間交流推進校に指定されており、旧永福高等学校時代から交流していたオーストラリアのフォートストリート高校に台湾、韓国の高等学校が加わり、合計4校と姉妹校提携を締結している。

浜田山駅から徒歩約10分。閑静な住宅街の中に校舎がたたずむ(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

浜田山駅から徒歩約10分。閑静な住宅街の中に校舎がたたずむ(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

日本舞踊の授業風景。留学生や姉妹校の生徒に披露する機会もある(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

日本舞踊の授業風景。留学生や姉妹校の生徒に披露する機会もある(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

自己分析をしながら進路を具体化する

授業は1コマ50分で、時間管理で自主・自律の精神を身に付けるためにノーチャイム制を導入している。クラス替えは2年次進級時のみ。藤本校長は「杉総の生徒は、1年次から大学みたいに自分で時間割を作るので、大学などへの進学時は、スムーズに履修科目を組めるんですよ」と話す。
1、2年次の必履修科目「産業社会と人間(サクセスプランニング)」(※2)の授業では、自己分析や進路ガイダンス、インターンシップなどが行われ、職業や大学の分野を具体的に考えるためのサポートも充実。卒業後は、約9割の生徒が大学、短大、専門学校などに進学している。
また、複数の外部機関と積極的に連携し、土曜講習では予備校の講師が来校して授業を行う講座もある。1年次で履修する「人間と社会」の授業では、NPO法人すぎなみ環境ネットワークなどから特別専門講師を招き、生徒たちがさまざまな体験を通して学ぶ。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>杉並の地域活動>NPO法人すぎなみ環境ネットワーク

広々とした伝統芸能室。日本文化を学ぶ授業や部活動が行われている

広々とした伝統芸能室。日本文化を学ぶ授業や部活動が行われている

図書室には外国語の本や、漫画家として活躍する卒業生の作品もある

図書室には外国語の本や、漫画家として活躍する卒業生の作品もある

都立高校初。1年次から第二外国語が必履修科目

杉総は、2012(平成24)年にユネスコスクール(※3)に加盟。「志を世界に繋ごう」というスクール・ポリシーの基に、世界寺子屋運動(※4)への参加や留学生の受け入れなど、国際理解教育を積極的に行っている。
2017(平成29)年度には、都立高等学校で初めて1年次から第二外国語(中国語と韓国語から一つ選択)が必履修科目とされた。生徒たちは、姉妹校とオンラインで交流したり、中国や韓国の文化を学んだりする。また、高校生中国語発表会への参加や、韓国語スピーチ大会の銅賞受賞など、学習の成果を発揮する生徒もいる。2023(令和5)年には、韓国の6人組ボーイズグループ「NXD」が来校し、授業やコンサートを行った。
在京外国人入試制度(※5)で入学した外国籍の生徒には、教員が日本語の指導、学校行事の持ち物と集合場所の説明、考査前の試験範囲や提出物の確認などをサポートしている。

韓国語の授業風景(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

韓国語の授業風景(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

海外の姉妹校の生徒と交流(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

海外の姉妹校の生徒と交流(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

部活やイベントを通して楽しみながら学ぶ

部活動では、運動部14、文化部15が活動しており、このうち、ウインドアンサンブル部、女子バレー部、女子バスケットボール部、女子サッカー部には文化・スポーツ等特別推薦枠がある。
弓道部は2023(令和5)年に個人戦で全国選抜大会出場を果たした。韓国語部では、ドラマ鑑賞や、姉妹校の美林女子情報科学高等学校への海外研修、オンライン交流などを楽しみながら韓国語を学んでいる。
例年9月に行われる杉総祭は、生徒が盛り上がるイベントの一つ。多岐に渡る選択科目の授業から学んだ成果の発表や展示などが見られるのも魅力だ。また、ネパール国籍の生徒が民族舞踊を披露するなど、有志のステージ発表も好評を博している。

▼関連情報
杉並総合高等学校女子サッカー部「Nike FC presented by Soccer Shop KAMO」(外部リンク)

女子サッカー部は、2023年の第19回関東高校女子秋季関東大会で優勝した(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

女子サッカー部は、2023年の第19回関東高校女子秋季関東大会で優勝した(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

杉総祭では「もんつく」と呼ばれる有志の生徒が制作した門も見どころだ(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

杉総祭では「もんつく」と呼ばれる有志の生徒が制作した門も見どころだ(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

基本情報

藤本校長からのメッセージ
本校は生徒の皆さんのいろんな希望に対応できるよう、先生方が皆さんの自己実現に向けて全力でサポートしています。生徒たちには一生懸命やる仲間を応援し、「共に頑張ろう」という雰囲気があります。ぜひ、本校に足を運んで見学してみてください。

教育目標
キャリア教育、環境教育、国際理解教育を基に、総合学科としての多彩な選択科目からなるカリキュラムを通じて、最良の自己実現に向けて自ら努力し、優れた国際感覚をもち、生涯を通じて学ぼうとする意欲と能力をもつ人間を育成する

主な地域活動
・浜田山メインロード商店街で生徒会が募金活動:2024年
・浜田山の合同防犯パレードにウインドアンサンブル部と和太鼓部が参加:2022年
・例年、近隣施設の行事・イベントで和太鼓部が演奏を披露
・「人間と社会」の授業の一環として、杉並区立三井の森公園の園路整備や花壇整備:2019年

イベント情報
杉総祭(文化祭):例年9月
学校見学会:例年7月
部活動体験:例年7月、8月
学校説明会:例年10月、12月

生徒数(2024年度)
3学年合計:約693名

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>杉並区立三井の森公園

※1 総合学科:普通科と専門学科の選択履修を総合的に施す第三の学科として1994(平成6)年度から文部科学省が導入
※2 産業社会と人間(サクセスプランニング):自分だけの進路を見つけ、それを実現させるための総合学科にしかない授業
※3 ユネスコスクール:ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の理念を学校で実践するために発足した国際的なネットワーク「ASPnet(Associated Schools Network)」への加盟が承認された学校のこと
※4 世界寺子屋運動:公益社団法人日本ユネスコ協会連盟が進める、開発途上国に寺子屋(学びの場)を作り、多くの子供や成人に教育を受ける機会を提供しようという運動
※5 在京外国人入試制度:外国籍の生徒を対象とした入試で、一定の応募資格を満たせば、受検できる制度(杉総では2024(令和6)年度は20名を募集。最新の募集人数については、東京都教育委員会のホームページを参照)

「優しい子、明るい子、杉総には色々な生徒がいて楽しいです」と話す藤本校長

「優しい子、明るい子、杉総には色々な生徒がいて楽しいです」と話す藤本校長

春には満開の桜が校舎を彩る(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

春には満開の桜が校舎を彩る(写真提供:東京都立杉並総合高等学校)

DATA