松山通りと日大二高通りの交差点付近に、阿佐谷初のシェア型書店「一冊本屋 青い小窓」(以下、「青い小窓」)がある。シェア型書店とは、本棚を間借りした棚主たちが、思い思いにセレクトした本を販売する共同運営方式の書店である。本を通じて人々が集う場としての役割も担い、都市部を中心に増えているという。
「青い小窓」は、阿佐ケ谷駅北口にある「喫茶 天文図舘」の店主・山城隆輝(やましろ りゅうき)さんが、常連客でもあったチョークアート作家・遠藤涼子(えんどう りょうこ)さんと共同経営で2024(令和6)年10月にオープンした。その場にいるだけで心が朗らかになるような空間づくりを心掛け、「喫茶 天文図舘」の常連メンバーでDIYをしたそうだ。青と白の外観と内装は、山城さんのルーツである沖縄の海・空・雲をイメージしている。
特徴は、各棚に本が1冊ずつ表紙が見えるように飾られていることと、購入者のみが開封できる棚主からの手紙が添えられていること。「最近は本をネットで購入できるので、書店で本を買う必要性が薄れつつありますが、手紙という売り手の思いを込めることを通じて、1冊の本を購入することが特別な存在に変わるのでは」と遠藤さんは言う。
棚主は近所の住人、女子学生、会社員など、年齢も職業もさまざま。SNSのタイムラインを見て面白そうだと訪れた人や、「喫茶 天文図舘」の口コミで知った人などに利用されている。棚貸し料は1棚1カ月3,000円で、販売手数料などはなく売り上げは全て棚主へ渡る。
棚主には一つ特典がある。それは1時間1,500円でイベントが開催できること(棚主以外は1時間3,000円。材料費などの実費は別料金)。遠藤さんは「気軽にイベントを開催できれば、何かに挑戦するハードルを下げることができると思います。棚主さんの興味のあることや得意なことをイベントにしてもらって、挑戦したい気持ちを後押ししたい」と話す。山城さんもすでに「喫茶 天文図舘」で小規模ながらイベントを開催し、その手応えを遠藤さんと共感していたそうだ。
「青い小窓」のイベント日程は店の公式SNSで紹介されているので、興味のある人はチェックしてほしい。例えば、猫好きな棚主が開催するイベントでは、猫好きが集まり、猫愛を語り、猫の本の交換会などを企画しているという。