看板メニューの「特さざなみ」(990円)にはチャーシューや角煮が乗る
高円寺駅から徒歩約3分、高円寺パル商店街振興組合に2023(令和5)年1月にオープンした「とんこつ拉麺 漣」(とんこつらーめん さざなみ)。店主の八巻旭さんは地元の神奈川県で2005(平成17)年からラーメン作りに携わってきたベテランだ。これまで中華そば、北海道味噌、塩など多彩なラーメンを手掛けてきたが、独立開業を考える中、最もキャリアの長い豚骨をチョイスして勝負する。たびたび訪れて親しみのあった高円寺に物件を見つけ、店舗を構えることにした。
看板メニューの「特さざなみ」をはじめとする豚骨ラーメンは、豚骨特有の臭みがなく、東京の人に敬遠されないようアレンジ。塩ベースを生かした醤油だれで口当たりをやわらかく整えて、スープのうま味を存分に引き出している。「背脂をしっかり乳化させて入れているので、スープ自体は濃厚なんですが、食べやすく仕上げています」と八巻さんは自信たっぷりだ。
麺はストレート細麺で130g。これは一般的な博多豚骨ラーメンより多めだ。豚骨ラーメンの醍醐味(だいごみ)である替玉は65gで、おなかの空き具合に応じて杯を重ねられる。高菜や紅しょうがなど無料トッピングの種類も豊富で、自分好みに仕上げられるのも楽しい。
「特さざなみ」より一層マイルドなスープが特徴の「しろなみ」は、博多麺ではなく中華麺を使用しているのもポイント。「完全な塩豚骨で、自分が一から作り上げた派生系です。中華麺を合わせることで全然違う食感が楽しめます」
また、八巻さんが研究した流行のラーメンの味や、季節を考慮して開発する期間限定メニューも2~3カ月に一度登場する。2024(令和6)年~2025(令和7)年の冬には「味噌豚骨ラーメン」がお目見え。いつも新鮮な味に出合えるのも特徴だ。
サイドメニューには餃子や唐揚げなどがあり、麺とこれらを組み合わせたセットメニューも人気。「餃子だけでなくチャーシューや煮卵にもこだわり、自家製にしています」
店内にはカウンター席だけでなくテーブル席もあり、ファミリーや女性客でも入りやすい雰囲気。「僕も子供が3人いるので、ベビーカーでも入れるお店にしたかったんです。実際、土日は家族連れのお客さまが多くてありがたいですね。フライドポテトやチャーハンもあるので“ファミレス的”に使ってもらって構いません」
平日のランチ時は会社員、土日は学生や古着店巡りの若者が訪れる。インバウンドの観光客も客層の2割を占めるという。「今後は深夜営業にも力を入れたいですね。高円寺は飲み屋さんが多く、夜遅くまでにぎわう街ですから」と、八巻さんは今後の展望を語る。「高円寺をもっと盛り上げたい。近隣の店舗と一緒に“高円寺ラーメンフェス”を開催するのが夢です」と話し、これからの街づくりに一役買う存在となりそうだ。