杉並の教育・未来の教育

若者をもっと挑発したい

(井出)SNSの世界でしか物が語られなくなった。本来は起承転結があって一定のボリュームを持って相手に伝えるべき情報が、「いいね」やスタンプのような単語や記号で済んでしまう。そうするとどうなるかというと、人間の劣化が始まります。今、それがどんどん進んでいて、物を考えなくなる。考えるのがめんどくさい、考えるのが嫌な世界。議論しないことは考えないことなんですよ。今の若者は議論をしない、議論を避ける。そこなんです。

(生重)そういう場を与えられてきていない、言われたことだけをやってきているんですよ。親から言われ、先生から言われ、言われるたびにやってきているから。

(井出)そのほうが楽ですよね。与えられたものはかなり高度に消化してうまく理解するけれど、アウトプットする手段や能力がない。だけど、それを身に付けた人たちは議論するし、主張もするし、いろいろなことを始めます。 だから、我々が若者に対してやらなければならないことは、彼らを挑発することなんです。単語では済まないよ、というところに追い込んでいく仕組みを作りたいとは思います。

(生重)私もそう思います。そういう場を作って、若い世代と共同で運営したい。自らやろうとしている人たちはだいぶ増えてきているので。

(井出)そういう人に我々が場所や資金や時間、情報を提供することはできるから、何かをやろうとしている人を押さえつけるのでなく、足りないものを提供していきたいですね。