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杉並の音楽人対談

二人の共通点は荻窪?

―― おふたりとも、ちょうど90年代前半にグループで音楽活動をされていて、どこかで顔を合わされたことはありませんか。
パラダイス山元(以下パラ) いや~、まったくなかったですね。
斉藤恒芳(以下斉藤) そうですね。
―― さらに奇遇なことに、おふたりとも荻窪に住んでいらっしゃるんですよね。
斉藤 僕は、2007年の4月に荻窪から引っ越してしまったんですけど、すれ違ったことはあるかもしれない。
パラ 同じ町内でしたからね。たぶん……スーパーヒフミヤで、特売品の棚の前で手が一瞬触れたとか、おなじおねえさんのレジに並んでいたとか(笑)
斉藤 ですね(笑)
―― なぜ荻窪に住まれるようになったんですか。
パラ ……とっても言いにくいんですが、縁やゆかりはあったものの、好きなまちとかいうわけではなく、ただ家庭の事情で……
斉藤 僕も荻窪でいい物件が見つかったから、たまたま。最初に住んだ建物の近所で、またもっといい物件を見つけて。雑居ビルの3階から5階まで独り占めで、さらに屋上も専有だったんです。
パラ なぜそんないい物件から引っ越しちゃったんですか。
斉藤 僕は出たくなかったんですけど、いろんな人が「引っ越したほうがいい」って言うので仕方なく。
パラ それにしても、気になる物件ですね~。
斉藤 ほんといい物件でした。隣近所に迷惑をかける心配がないので、爆音で演奏しても大丈夫だったし、屋上でダンスのリハーサルをしたこともあります。家では演奏されないんですか。
パラ 私は、家や事務所ではまったく演奏しないですね。自宅に音楽を持ち込まない。iPodとかも持ち歩かないですし、基本的に普段はサイレントな空間が好きなんです。原宿から荻窪に事務所を移動したときにも、希望条件は「事務所兼スタジオ」じゃなくて「事務所兼厨房」(注1)になる物件でしたからね。

(注1)「事務所兼餃子屋」……パラダイス山元さんは、『餃子のスゝメ』マガジンハウス (2006/11発売) の著者。完全会員制の餃子専門店、荻窪「蔓餃苑」のオーナーシェフ。

荻窪での活動

―― パラダイスさんは、杉並公会堂で講座を開かれてますよね。
パラ 「情熱のパーカッション講座」(注2)のことですね。不定期ですが、かなり継続してやっています。杉並公会堂が新しくオープンした日からやっています。
―― 斉藤さんはいかがですか。
斉藤 杉並公会堂のリハーサルスタジオは、よく使いますよ。1階とか地下とか。
パラ あそこは安くてスタッフのみなさんも親切でとってもいいところです。普段仕事で使うレコーディングスタジオに比べると、ほとんどタダみたいな値段ですからね。
斉藤 僕は、タウンセブンでやっているリコーダーオーケストラ「デル・ソーレ東京」(注3)に参加していて、たまに杉並公会堂を使うんです。引っ越してからも、だいたい毎週荻窪に来ていますね。
―― リコーダーオーケストラは、どんな活動をされているんですか。
斉藤 オーケストラとしてはまだアマチュアなんだけど、ゆくゆくはプロを目指しているから、メンバーのレベルは高い。教えている向江昭雅さんもハイレベルな人です。
パラ ジャンルは? クラシックなんですか?
斉藤 バロックです。リコーダーって、安いものがたくさん売っているし、子どものが家にあったりするじゃないですか。それで主婦の人が、フルートはちょっとハードルが高いけれど、リコーダーだったらって。
パラ かなり安直な気持ちで入ってきたりするんじゃないですか。
斉藤 たしかに、そういう人もいます。でも実は、やってみるとフルートより難しい。ただ、リコーダーってとっかかりとしていいんですよね。
パラ 斉藤さんもオーケストラの一員なんですよね。
斉藤 ある日、オカリナを買おうと思って、銀座のヤマハに行ったら、ちょうど「リコーダーフェア」をやっていて。急に欲しくなっちゃって買って帰ったんです。そのあと調べたら、意外にも杉並区にはリコーダーのアンサンブルがたくさんあることを知って。
パラ へぇ~。
斉藤 で、タウンセブンでリコーダーを教えてくれるって知って。すぐに見学に行ったんです。土地柄かメンバーには音大出の主婦っていう人が多いんですね。
パラ 譜面に弱いから、ボクは絶対入れないなあ。私の仕事、打楽器に譜面なんてないですからね。あっても、そのとおりに叩けって言われても困っちゃうんで。
斉藤 そうですよね。
パラ きっかり200回叩いたつもりでも、ズレまくっている場合がほとんどですから……
斉藤 グルーヴっていうのは、譜面に書くものではないですよね。ラテンパーカッションに関していえば、書いたとおりにしかやってくれない人はむしろ困りますね。目安として「このあたりで叩いて欲しい」って指示だけしか書かないと、ほんとにそのまんまでビックリしたことがあります。
パラ ありえないですね。
―― リコーダーといっても、小学校で使っていたものとは違うんですよね。
斉藤 そうですね。だいたいメンバーの人は、20万くらいのリコーダーを使っています。大きいものだと300万くらいします。
―― リコーダーのイメージをくつがえす価格帯ですね。
パラ 楽器って、ついお金をかけちゃいたくなるもんなんですよ。
斉藤 いいリコーダーと比べると、安物はあきらかに音が違って浮いちゃう。さらに吹くと、すごくいい音がするから、高くてもそれなりの楽器が欲しくなるんです。
―― 「情熱のパーカッション講座」の生徒さんは、ボンゴやコンガを買うことはあるんですか。
パラ 買っている人もいますけど、基本的にはわたしがワンボックスにぎっしり詰めて、会場に持って行ってます。会社帰りの人たちが、手ぶらでやってきて、叩いて帰っていくっていうスタイルなので。コンガは素手で叩くんで、マレットも必要ありませんから。
斉藤 たくさん叩くと、「血尿」(注4)が出る人もいるんですよね。
パラ 「血尿」は出ますね。真剣に叩くと、だいたい出ます。出ると「一人前」みたいな。だれもそんなこと言ってないんですけどね。本場のミュージシャンに聞いたら、出るのは「一人前」じゃなくて「当たり前」みたいでしたけど。
斉藤 ピアノの鍵盤を叩いても「血尿」は出ないなあ。腱鞘炎にはなりますけど。

(注2)「情熱のパーカッション講座」……SNSのmixiの「杉並公会堂」コミュで、参加者を随時募集中。
(mixi会員のみ)http://mixi.jp/view_community.pl?id=707844
(注3)「デル・ソーレ東京」……タウンセブンビル8Fの「フォーラムU」にて、第1・3土曜日(変動あり)の19時~21時に活動中。見学は随時受付中。
(注4)「血尿」……正式には「血管内赤血球破砕症候群」と呼ばれるとか。コンガを叩く衝撃で血管内の赤血球が破壊され、赤い色素のヘモグロビンが腎臓を通過して、尿に混じる現象。

音楽活動をしていくなかで、地域にあったらいいなあと思うものは?

パラ 荻窪は、いつのまにかクラシックの街になっちゃって。「なんだよ、ここでマンボやっちゃいけないのかよ」って気分になっていますね。
斉藤 ラテンの街に無理やり変えていくとか(笑)
パラ 斉藤さんがやっているリコーダーオーケストラもそうですし、わたしの「情熱のパーカッション講座」もまあそうなんですけど、荻窪の街って、どうも地域の活動としてやっていることが、なかなかうまくいきにくいっていう印象がありますね。
斉藤 ですね。
パラ 「中央線文化」ってひとくくりに言われるけれど、集まりたくて住んでいる人ばかりじゃないから、十把一絡にできないと思うんです。高円寺に住んでいたって、クラシックをやっている人はいるだろうし。なにもフォークの聖地みたいにする必要もないわけだし。いまみたいに、街ごとにジャンルを分けをするっていう傾向は、ちょっと危ういなあって。お祭りは、地域ごとに派手にやっていいと思うんですけど。
斉藤 うん。
パラ 高円寺なんかはすごく好きな街で、「まだいたのか!」って思うようなやや時代から取り残された感じの人たちが、いっぱいいるじゃないですか。変わらない部分を持ているっていうのは、地に足がついた街の文化だと思うんですね。手前みそですけど、30分の短編映画をつくる企画があって(注7)、そのときのロケ地は荻窪ではなく、どうしても高円寺でやりたくて。とくに意識したわけじゃなかったんですけど、高円寺臭さっていうか味が映像から滲み出ていますよ。
斉藤 純情商店街……。
パラ なんともなネーミングですよね(笑)でもまあ、杉並区に住むミュージシャンなんて山ほどいますよね。阿佐谷ジャズストリートのお祭りには、知り合いがたくさん出ていて、すごく盛りあがっていて、うらやましいなって気持ちもあるんですけど。なかなか参加する機会はないですね。
斉藤 ジャズってまたフィールドが別ですよね。
パラ しかも、地元ではライブすらしたことがないんで。
―― じゃあ、ぜひ荻窪でマンボまつりを!
パラ そんな、学校で子どもがイジメられると困るので、やりません(笑)
―― これまでグループや個人で音楽活動をしてきて、「これは恥ずかしい」と思った体験はありますか。
斉藤 「弾くより、踊れ」って言われたことかな。曲のなかにたくさん踊らなきゃいけない部分があって、ときにはほんとに弾けないくらい複雑な振り付けがついていたんです。
―― 振り付け優先なんですね。
斉藤 そう。ジャンプしてキーボードをまたいだりとか。けっこうストレスがたまりましたね。
パラ 自分からやるならまだしも、人から言われてやると途端におもしろくなくなるんですよね。
―― パラダイスさんはどうですか。恥ずかしかったことでもいいんですが。
パラ イヤなことはやった覚えはないなあ。恥ずかしいと思ったのは、上半身ハダカで、インド人みたいなターバンを頭に巻いて叩いてくれって言われたときですかね。さすがにハダカにはなりませんでしたけど。和太鼓じゃないんですからね。あと基本的に地元で音楽をやるっていうのは、恥ずかしいかな。
斉藤 そうですね。
パラ この対談風景もアクセス数が少なくて、目立たないことを願っています。冗談ですけど(笑)
斉藤 荻窪でライヴをして、もっと知名度をあげれば、どこのお店に行ってもまけてくれるとかになればね。
パラ むしろそれは避けたい状況ですね(笑)それじゃなくても、ガタイが大きくて目立つので。
斉藤 あはは(笑)
パラ 杉並区内でやっているお祭りとかアニメとかの持っていき方はおもしろいと思うんだけど。ミュージシャンを売り出したり優遇したりするようなプログラムは、いまのところないかな。アニメーターを育てるように、高円寺なんかでもそういうプロジェクトがあればいいのにって思いますね。
斉藤 ですね。
パラ 音楽版トキワ荘みたいなアパートがあってもいいだろうし。音楽をやるのに、もうすこし門戸を開く環境をつくってくれてもいいかもしれませんね。あまり甘やかすのはよくないですが(笑)
斉藤 地域区民センターでスタジオを安く借りられるっていうのはいいですよね。ピアノが置いている部屋とか。
―― 阿佐谷の商店会などでは、定休日にお店を貸しますって取り組みもあるみたいです。
パラ それはいい動きですけど、そういった情報も地域の人たちに伝わらないと使いこなせないですからね。
斉藤 一番欲しているのは、そういう情報なんですよね。

写真:斉藤さんが通うリコーダーレッスンの様子:現在は荻窪タウンセブンの貸室で練習を行っている。
―― 実際に音楽活動をされるにあたって、必要だと思うものはなんですか。
パラ 廃校になった小・中学校などは、ほかの区では地域コミュニティの場として使われていますよね。そういう施設を、杉並区でももっと有効利用できればいいのになあって思います。学校みたいな反響のいい場所でクラシックなんかを演奏すると、すごくうまく聞こえるから。それがたとえ勘違いでも、練習に励んでうっかりうまくなっちゃうってこともあるんじゃないかな(笑)
斉藤 あはは(笑)
パラ 最終的には、たまたま空いているお店とかじゃなくて、ミュージシャンたちがいつも集まれる場所っていうかね。アクションがすぐに起こせる環境が必要だと思いますね。
斉藤 そうですね。
パラ ただ、仲間をつくる場所って意味ではないんですよ。わたしみたいに(笑)だれにも理解されないようなことを、しみじみとやるっていうケースもあるだろうし。
―― そういう場所があったら、使ってみたいと思いますか。
斉藤 うん。
パラ そりゃそうですよ。わざわざ遠くのスタジオに行くよりはね。
斉藤 僕はね、リコーダーオーケストラが、コンサートできるような場所が、もっとあるといいなあって思っています。公共のホールだと、1年前から予約しなくちゃいけなくて、予定が立てずらいんですよ。杉並公会堂とかでできればいいけど、とても高いんで。この間も適当なホールが見つからなくて、わざわざ狛江まで行ったんです。でもほんとは、荻窪で活動しているオーケストラだから、荻窪でコンサートをしたほうが、宣伝にもなるし、演奏を見て興味を持ってくれた人も、同じ地域なのでメンバーとして参加しやすいですよね。
―― 住んでいる場所で、たくさんプロの音を聴く機会があるっていうのは、地域の人にとっては嬉しいことですよね。
パラ ですね。趣味でやっている人とプロでやっている人の音楽では、やはり違いがあります。感動できるかどうかとか、演奏がうまいかヘタかって意味では差はないと思うけど。音楽でゴハンを食べてるかどうかってところの、プロの人が発する本物感っていうのは必ずあるんですね。
―― パラダイスさんは、子ども向けの曲(注8)も作られていますが、未来のマンボミュージシャンの育成を目指しているんですか。
パラ まったく考えたこともないですね(笑)
斉藤 子ども用の音楽って、実際ないですからね。
パラ ただ小さいときに『たこやきなんぼマンボ』とかを聞かせておいて、潜在的にマンボの記憶を植え付けておくって狙いはありますね。ある日突然、日本がラテン化するみたいな。

(注5)「わくわくさん」……NHK教育テレビ『つくってあそぼ』に出演している久保田雅人の愛称。『つくってあそぼ』は、身近にあるもので工作して、それを使って遊ぶのがコンセプトの番組。
(注6)『タブー』……毎週土曜日に放送されていたTBS「8時だョ!全員集合」で、1972(昭和47)年からの1年間、加藤茶がこの曲に合わせて「ちょっとだけよ」と言いながら踊っていた。
(注7)短編映画をつくる企画……タイトルは『盆栽少女』(2008年公開)。盆栽に興味をもった外国人の男子高校生と、日本の女子高生の出会いを描いた短編映画の監督を務めた。
(注8)子ども向けの曲……『たこやきなんぼマンボ』(NHK・おかあさんといっしょ)、『ピタゴラジョンマーチ』(NHK・ピタゴラスイッチ)などのこと。

荻窪でお気に入りの場所は?

―― 荻窪で好きな場所を教えてください。
斉藤 たくさんありますよ。引っ越しても、しょっちゅう来ているから、買い物はいまでも荻窪でしています。「はちみつ専門店 ラベイユ」(注9)とか。
パラ オッシャレ~! 隣の焼き鳥屋さん(注10)でしか買い物したことがないです。
斉藤 あと大田黒公園(注11)でボーっとたそがれるとか。タウンセブンの屋上(注12)も、ひなびた遊園地みたいで好きですね。
パラ 昭和な感じですよね。神社(注13)もあるし。
斉藤 無理やり作った池もあって。その近くのベンチに座って、またボーッとして。
パラ 子どもと一緒ならだれもなにも言わないですけど。ビールなんか片手に30分も座っていると、周りからすごい怪しい人を見るような目を向けられますよね。
斉藤 僕は一度ずーっと座っていたときがあって。「何されているんですか」って警戒しながら話しかけられたことがあります。
―― パラダイスさんのお気に入りの場所はどこですか。
パラ まあ、荻窪といえば、杉並公会堂ですよ。「8時だョ! 全員集合」が撮影されていた場所なんで。わたしにとっては聖地とも言える場所です。「ここで加藤茶が『タブー』の曲をバックに踊っていたのか!」みたいなね。
斉藤 ピンクのネグリジェで(笑)
―― じゃあ、パラダイスさんのルーツですね。
パラ そうです。だから、好きですよ、杉並公会堂は。1階のスパゲティ(注14)もおいしいし。チェーン店だけど。あとはスーパーヒフミヤ(注15)でしょ。区内で一番安い! と思います……。あとBGMが2つしか流れない。
斉藤 靖国通り沿いの三平ストアに入ったら、妙に懐かしい気持ちになって。なんでかなあと思ったら、ヒフミヤと同じUSENの曲が流れていたんです。
パラ 「ビギン・ザ・ビギン」のことですね。わたしが、焼き肉のタレのメーカーから、スーパーの精肉コーナーでしかかからない販促用の作曲を頼まれたことがありまして。なかなか自分でも気に入っているんですが『焼き肉マンボ~たれつけ戦隊焼きレンジャン~』(注16)っていう曲なんですけど。それが、1ヶ月だけの期間限定……と思っていたら、なぜかいまでもヒフミヤでずっとかかり続けているんです。
斉藤 サービスじゃないですか。パラダイスさんが来るたびに、CDをセットしてくれていて(笑)
パラ 顔面から火が出るときがありますね(笑)ヒフミヤでバンドやっている男の子に声を掛けられて、デモテープの送り先を教えてあげたこともありますね。
斉藤 僕は、ロンドンでレコーディングしているときに、「斉藤さんは、日本でどちらに住まれているんですか」って聞かれて、「荻窪」ですって答えたら、「ヒフミヤがありますよね」って言われて(笑)
パラ ロンドンでヒフミヤの名前が!
―― 世界のヒフミヤですね。
パラ 生活に必要なものは、すべて揃っていますからね。
斉藤 あんまり広くないお店ですが。


(注9)「はちみつ専門店 ラベイユ」……杉並区天沼3-6-23 Tel:03-3398-1778 アクセス:JR中央線「荻窪駅」北口教会通り沿い徒歩5分 営業時間:10時~19時(金曜のみ日没まで) 土曜定休
(注10)隣の焼き鳥屋さん……丸徳鶏肉店 杉並区天沼3-6-24 Tel:03-3398-0864 営業時間:9時~19時 日曜定休
(注11)大田黒公園……杉並区荻窪3-33-12 記念館には、108年前のスタインウェイピアノがあり、地元のミュージシャンたちが「大田黒公園のピアノを守る会」を発足させている。
(注12)タウンセブンの屋上……「ちびっこタウン」 営業時間:プレイランド(なか)10時~18時 のりものコーナー(そと)10時~17時30分 平日だけお得な「のりものスタンプラリー」をやっている。
(注13)神社……出世大黒天様。おもな御神徳は、縁結び・商賣繁昌・災害防除・諸願成就。屋上の神社だけでなく、1階の中広場にも大黒様が鎮座している。
(注14)1階のスパゲティ……エスプレッソ・アメリカーノ 杉並区上荻1-23-15 Tel:03-5347-2137 営業時間:11時~20時 不定休
(注15)スーパーヒフミヤ……杉並区清水1-13-7 Tel:03-3393-1238 毎月7日が特売日。
(注16)『焼き肉マンボ~たれつけ戦隊焼きレンジャン~』……2008年6月現在もかかり続けている。パラダイス山元さんの「アーーーッ」「うっ!」のエキサイティングボイスは必聴!

プロの音楽家として拠り所になっているものは?

―― 最後になりますが、プロの音楽家として活動していくうえで、拠り所になっているものはありますか。
斉藤 考えたことないですね。作曲って、好きな曲をつくるっていうのとは、またちょっと違うんです。ある意味、職人なんですね。何日までに何分の曲を書いて欲しいってオーダーがきて、それに向かってひたすら書いていく、っていう繰り返しなんですね。
―― 辛いなあと思うことはありませんか。
斉藤 ありますよ。知恵熱みたいな高熱が出たり。すごく集中力を使って飲まず食わずだから、1本書き上げると寝込んじゃうことが多いです。
パラ ひとつの仕事が終わるとですか。
斉藤 そうですね。一気に40度近い高熱が出ます。
パラ コンガ叩いて、血尿が出るよりも全然辛いじゃないですか!
―― それでも続けるモチベーションってなんなんでしょう。
斉藤 作曲家だからじゃないですかね。転職なんて考えたことないですから(笑)
―― パラダイスさんはどうですか。
パラ 難しいなあ。まあ、天職なんでしょうね、転職じゃなくて(笑)。人を楽しませたり、喜ばせたりって、したいと思っても簡単にできることじゃないし、そういう職業につけて、今はとてもラッキーだったなと思います。会社辞めてヨカッタ~って。

斉藤恒芳 プロフィール
1965年静岡県生まれ。作曲家。1990年、東京藝術大学在学中にヴァイオリニスト葉加瀬太郎、ベーシスト竹下欣伸と共に“クライズラー&カンパニー”を結成。デヴィッド・フォスター、セリーヌ・ディオンとレコーディングをしたフジテレビ系ドラマ「恋人よ」主題歌『To Love You More』が大ヒットした。1996年、“クライズラー&カンパニー”解散後は、NHK「首都圏ネットワーク」などさまざまなテレビ番組の音楽を担当。CM音楽やテーマ音楽まで幅広く作曲活動を行っている。

パラダイス山元 プロフィール
1962年北海道生まれ。作曲家、マンボミュージシャン。大学卒業後カーデザイナーとしてSUBARUに勤務。1991年、DJのコモエスタ八重樫、ティンバレスのゴンザレス鈴木と共に“東京パノラママンボボーイズ”でメジャーデビュー。作詞・作曲活動のほか、マン盆栽の家元、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロース、コラムニスト、入浴剤ソムリエとさまざまな分野で活躍している。荻窪で会員制餃子「蔓餃苑」を主宰。

DATA

  • 取材:佐竹未希
  • 掲載日:2009年06月10日
  • 情報更新日:2009年05月29日