「東京都は、東日本大震災の翌年の2012(平成24)年に、「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」(※)を発行しました。杉並区も他の自治体に先駆けて杉並区版の地震被害想定を実施し、2017(平成29)年に、地盤データなどを基に震度予測と建物被害のシミュレーション結果をまとめ、翌年には避難者やライフライン被害などのシミュレーション結果を発表し、印刷物として「地震被害シミュレーション」を発行しました。各データは、起こりうる首都直下地震の中で最も区への被害が大きいとされる東京湾北部地震を想定しています。地震規模はマグニチュード7.3、区内の震度は6弱~6強と考えられます」と防災課は話す。
「地震被害シミュレーション 結果報告概要版」にある「首都直下地震震度予測図」を見ると、区の東側が震度6強の強い揺れと表示されている。これは、想定震源地である東京湾北部に近いことなどが原因だそうだ。一定の条件の下での具体的な被害としては、区内の建物のうち5棟に1棟が焼失、建物の倒壊や火災による死者が541人、区の東側で多くの避難者が出ることが予測されている。
また、2018(平成30)年発行の「地震被害シミュレーション 結果報告概要版(避難者予測・ライフライン被害編)」では、「停電率」「ガス供給停止率」「断水率」など、生活に必要なライフラインへの影響を地図上で見ることができる。
▼関連情報
地震被害シミュレーション(地震被害想定)(外部リンク)
「地震被害シミュレーション 結果報告 (建物被害編)」(外部リンク)
「地震被害シミュレーション 結果報告(避難者予測・ライフライン被害編)」(外部リンク)
※上記2冊の結果報告は、リンク先でリーフレット(概要版)と冊子版のPDFファイルをダウンロード可
地震が原因で起こる二次災害の一つに火災がある。防災課は、「阪神・淡路大震災や東日本大震災でも、火災は地震発生直後にもありましたが、一度停電になった後、電気の送電が復旧した時に起こる通電火災も多く発生しました。区や都はその減災対策として、建物の耐震・不燃化や、細い道路(狭あい道路)の拡幅などに取り組んでいますが、整備に時間がかかります。そこで、区では2016(平成28)年度から各家庭に感震ブレーカーの設置をお願いしています」と話す。
感震ブレーカーは、家庭のブレーカー(分電盤)に取り付ける装置で、震度5強~6弱以上の地震を感知すると自動的にブレーカーを落とし、電気の供給を遮断する。例えば、地震発生時に電気ストーブなど火災の原因になる器具を使っていた場合、送電が止まることで自動的に電源が切れる。また、地震で家具などが転倒し、電気コードや電気器具が破損した場合にも、停電の復旧時にコードがショートして火災が起こることも防げる。「地震は必ずしも自宅にいる時に発生するとは限りません。また、震災後に避難し、自宅を留守にするケースも考えられます。感震ブレーカーを設置していれば、自宅にいなくても出火が防げますので、ぜひ設置を検討していただきたいです。地域で設置してもらえると近隣からの延焼も防ぐことができ、有効です」
杉並区では、簡易型感震ブレーカーの設置助成を行っている。詳細は下記の杉並区ホームページを参照されたい。
シミュレーションから想定される区内の避難者数は10万人を超える。区立小中学校などに開設される震災救援所などで、この人数を収容する備えはあるそうだ。「区民の皆さんには在宅避難のための準備も進めていただければと思います。避難所生活は決して快適なものではなく、プライバシーの保護が行き届かない部分も出てくると思われます。在宅避難でも震災救援所で食料や生活物資のほか、被災者支援に関する情報などを受けられますので、住み慣れた環境で避難生活を送れるような備えをお願いしたいです」
もしもの場合に在宅避難ができるように、感震ブレーカーの設置、家の耐震・耐火化、家具の転倒や物の落下防止、食料や生活物資の備蓄など、できるところから準備をしておきたい。
▼関連情報
家庭での震災対策(外部リンク)
すぎなみ学倶楽部 特集>災害・防災>入手したい杉並の防災情報
※ 2022(令和4)年5月25日に改訂版を公表