専修大学附属高等学校(以下、専大附属)は、1929(昭和4)年、財団法人京王商業学校として創設。1955(昭和30)年に専修大学附属京王高校と改称し、その年にラグビー部が創部された。以来、全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場7回、準優勝3回(※)という戦歴を持ち、その長い歴史と伝統を今日まで受け継いできた。
同校ラグビー部のOBでもある現顧問の野坂崇先生は、「大切なことはラグビーが強いかどうかだけではない」と話す。「激しく、野蛮とさえいえるスポーツなのに、自分たち自身で規律を守らないとゲームに勝てない。そんなラグビーを通じて、“勇気・礼儀・忍耐”を身に付けるというのが、部のモットーです」
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華やかな戦歴を持ちながらも、経験の有無や性別を問わず門戸を開き、歴史をつないできた専大附属ラグビー部。その歴史が途切れかねない危機があった。2021(令和3)年、3年生の引退後、部員不足により単独チームでの大会参加ができず、他校との合同チームとなることを嫌って男子部員全員が退部する事態が発生したのである。
しかし、当時1年生だった女子部員4名が活動の継続を決断し、廃部の危機を免れた。その時1年生でキャプテンに就任し、2023(令和5)年現在チームを率いている3年生の尾崎羽菜さんは、「チーム内にはお互いを尊重し合う関係があります。学校生活の悩みも話せる仲間に感謝している。部活を続けて良かった」と柔らかな笑顔を見せる。
野坂先生によると「部としての“継続”は何よりも大事。上下のつながりがあれば、未経験者も1年でゲームができるようになる」そうだ。
2023(令和5)年現在、所属している9名は全員女子部員だ。「ポジションごとに違った役割があり、“どんな人にも向いている”のがラグビー。男子でも女子でも、興味がある人はやってみてほしい」と尾崎さん。
部員数が少ないと、練習の形式が限られたり、単独チームで練習試合を組めなかったりするのが悩みだが、メニューを工夫し、時には他校の生徒の助けを借りながらトレーニングを行っている。「高校からラグビーをやろうとチャレンジするだけでもすごいのに、思うに任せない練習環境にもめげないで続けている。経験値の少ない女子チームですが、頑張っていますよ」と野坂先生は目を細める。
ラグビーの巧拙とはまた別に、生徒自身の頑張りや成長を大切にする雰囲気が魅力的なラグビー部だ。
※準優勝は、第41回大会/1961(昭和36)年、第43回大会/1963(昭和38)年、第46回大会/1966(昭和41)年
専修大学付属高等学校 公式ホームページ https://senshu-u-h.ed.jp/
「全国高校ラグビー大会とは」(J SPORTS公式サイト)