2019(令和元)年9月から開催される「ラグビーワールドカップ2019日本大会」に向けて、国内のラグビー人気が高まってきた。区内のラグビー事情に詳しい杉並区ラグビーフットボール協会専務理事の早川さんは、「あまり知られていませんが、都内でも杉並は戦前から学生ラグビーが盛んでした」と話す。1929(昭和4)年に、日本大学第二中学校・高等学校にラグビー部が誕生、1933(昭和8)年には東京大会に勝利し、旧制中学校・実業学校を対象とした全国大会初出場を果たした。現在、区内の高等学校19校のうちラグビー部があるのは、日大二高のほか、国学院大学久我山中学高等学校、専修大学附属高等学校、都立豊多摩高等学校の4校。いずれも全国高等学校ラグビーフットボール大会に出場経験があり、大会成績も国学院久我山の優勝5回・準優勝2回をはじめ、専修大附属の準優勝3回(※)、日大二高の準優勝1回のように、輝かしい成果を残している。
※ 専修大学附属高等学校の前身である京王高等学校時代の成績
区内のラグビーについて語る上で欠かせないのが、早稲田大学ラグビー蹴球部(しゅうきゅうぶ)の活躍である。早稲田大学は2002(平成14)年に、新日鉄より買い取った杉並区上井草の土地に、西東京市東伏見からグラウンドと合宿所を移転した。全国大学ラグビーフットボール選手権大会での優勝は最多の15回、そのうち5回は上井草移転後だ。「上井草の商店街を歩くと、街路灯に早稲田のえんじ色と黒のストライプのフラッグが掛かり、地元をあげて応援している雰囲気が伝わってきます」と早川さんは言う。2016(平成28)年には、NHKの連続ドラマ「運命に、似た恋」にラグビー蹴球部が協力し、上井草グラウンドで撮影が行われたこともあったそうだ。
早稲田大学ラグビー蹴球部や、先に紹介した高等学校4校など、区内を中心に活躍するラグビー団体は「杉並区ラグビーフットボール協会」に加入している。同協会は、杉並区におけるラグビーの振興と会員相互の親睦を図ることを目的として1993(平成5)年に発足。そのほかにも、40歳から90歳代までが毎週「生涯ラグビー」を楽しむ「特定非営利活動法人不惑倶楽部」や、子供を対象とした「杉並少年ラグビースクール」「特定非営利活動法人ワセダクラブ」などが加入している。「23区には子供向けのラグビースクールは12ありますが、同じ区に2つのラグビースクールがあるのは杉並だけです」と早川さん。子供から年配者まで多くのラグビー愛好家がいるのも杉並の特徴といえよう。
協会の公式ホームページでは、区内のラグビーイベントのお知らせや、杉並ゆかりのチームや選手の活躍などを紹介している。杉並のラグビーに関する情報を収集したいときに役立つだろう。また、区のラグビーの振興のために取り組んでいる事例を早川さんが話してくれた。「協会発足時、井草森公園運動場をラグビーで使⽤できるように働きかけ、使えるようになりました。これからも、区内のラグビー競技人口やファンがますます増えるように、草の根レベルですがいろいろと活動していきたいと思っています」