nido(ニド)は善福寺公園の上の池の北側にあるペット同伴OKのカフェ。吹き抜けの天井までの全面ガラスから差し込む陽光が、明るく気持ちの良い空間を演出している。壁にはニューヨークを拠点に活躍する現代美術家・松山智一氏の大きな作品が飾られ、アートを鑑賞しながらバリスタ(※1)が入れる本格的なコーヒーやスイーツ、フードを楽しめる。
店名のnidoはイタリア語で「鳥の巣」の意味。地域の中で安心して集まれるシンボル的な場所になるようにと名付けられた。2021(令和3)年のプレオープン以来、緑豊かな善福寺公園を散策する人たちや遊びに来るファミリーに大人気だ。遠方からペットを連れて車でやって来る人もいるという(駐車場4台分あり)。客の要望で始めた土日の早朝営業も好評。夏季は涼しくなる夜に散策する人のために営業終了時間を遅くするなど、柔軟な営業スタイルだ。
コーヒーなどのドリンクはもちろん、スイーツやフードのメニューも充実している。人気の「チーズケーキ」はテリーヌ(ムース状にした食材を焼いたもの)タイプで、しっとりとやわらかい食感。甘過ぎずチーズのコクが味わえる。他にも、生クリームがぼってりとのったかわいいカスタードプリンや季節のフルーツを使ったロールケーキ、期間限定のケーキなどがあり、スイーツ好きにはたまらないラインアップだ。
フードは数種類のサンドイッチに加え、開店から11時までのモーニングにはトースト類、11時から14時までのランチではボリュームのあるホットドッグも提供する。メニューのほとんどはテイクアウトできるので、公園散歩のお供にもおすすめだ。
また、犬用に、素材を厳選したおやつやヤギミルクなども販売。愛犬の健康サポートにも力を入れている。
「開業前にプレオープンの日を設けたら、スタッフは2人だったのに200人くらいのお客さんが一度にいらして、目の回るようなスタートでした」と笑顔で語るnido代表の佐藤圭さん。職人の父と、喫茶店を経営する親戚の姿を見て育ち、両方の仕事に興味を持っていた。左官の職に就いたが、接客の仕事もしたいとの思いから、海外でバリスタの修業をし、nidoを開店。「コーヒー職人+接客業」の夢をかなえた。
「海外のカフェを見ていて、スタッフとお客さんの距離が近く、フラットなコミュニケーションができる店にしたいと思ったんです。その工夫の一つとして、カウンターには最高級のグレードですがとてもコンパクトなエスプレッソマシンを導入しました。これなら入れながらお互いの顔が見えるので、お客さんとも気軽に会話ができます。そんな雰囲気づくりが成功して、今では差し入れを頂いたりするようにもなりました」
平日にnidoを訪れる客の半分近くが犬を連れているという。「ペットと一緒にくつろいだり、お子さんが座ったりしやすいように、ソファーは低めにしています。ペットを介してお客さん同士が友達になったりすることもありますね。地域の人たちのコミュニティースペースになってほしいという思いから、イベントなども開催しています」と佐藤さん。縁日やクリスマス、子供向けの自由研究など、季節ごとのイベントが好評だ。桜や新緑など四季が楽しめる善福寺公園。秋にはトロールの森(※2)も開催されるので、散歩がてらぜひ店に立ち寄ってみてほしい。
▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のイベント>トロールの森
※1 バリスタ:イタリアのバール(Bar)でエスプレッソを入れる職人。広義では、コーヒーを高度な技術と知識を持って提供する人のこと
※2 トロールの森:例年11月に行われる、西荻窪駅周辺から善福寺公園にかけてのエリアを舞台にした国際野外アート展