トキのモニュメント(左)と「お伊勢の森」説明板(右)
杉並区立お伊勢の森児童遊園(おいせのもりじどうゆうえん ※)は、阿佐ケ谷駅北口から徒歩約15分、杉並区立Aさんの庭の近くにある住宅地に囲まれた公園だ。1972(昭和47)年9月20日開園。園内はこじんまりとしていて、動物の遊具が設置されている。
1971(昭和46)年12月9日の杉並新聞によると、元々ここは子供たちの遊び場であったが、家を建てる計画が持ち上がり、「これまでのようにいこいの場として保存して欲しいと思います」という区への投書をきっかけに児童遊園として整備されることになったという。
辺り一帯には、かつて「お伊勢の森」が広がっていた。阿佐ケ谷駅北口にある阿佐ヶ谷神明宮の旧社地で、地元の人は「元伊勢」と呼んでいた。祭神が伊勢神宮と同じ天照大御神(あまてらすおおみかみ)であったことから、その後も「お伊勢の森」の名前で親しまれている。
園内には、現在は阿佐ヶ谷神明宮に安置されている明治時代初めの石柱があった。その裏面には「老松や 青く茂りて 御伊勢山 ときの巣造る 神徳の松」と和歌が彫られており、当時「お伊勢の森」にはトキが営巣していたことが分かる。そのことから、園内北側の植え込みの中には、トキのモニュメントと「お伊勢の森」説明板が設置されている。
日本産のトキはすでに絶滅しており、現在佐渡島に生息している約500羽のトキは、1999(平成11)年に中国から贈呈されたトキが人工増殖で増えて、その後に自然放鳥された個体である。
かつて、杉並区内にも特別天然記念物のトキが生息していたということから、当時の自然環境を考えてみるのもいいだろう。
「杉並郷土史会会報63号」杉並郷土史会
「杉並新聞」1971年12月9日付
『杉並風土記 中巻』森泰樹(杉並郷土史会)
新潟県佐渡市公式ホームページ
https://www.mext.go.jp/index.htm
阿佐ヶ谷神明宮公式ホームページ「神明宮とトキ」朱印帳頒布のおしらせ
https://shinmeiguu.com/news/news-11534/