高円寺演芸まつりは、2011(平成23)年2月から毎年開催され、今年の2017年で7回目を迎えた(※1)。このまつりの最大の特徴は、プログラムの多くがJR高円寺駅や東京メトロ新高円寺駅を中心とした商店街の店舗や寺社など、演芸場ではない場所を会場としているところ。開催期間中は高円寺のそこかしこで落語や漫才、奇術などを楽しめる。まつりが誕生した背景には、高円寺にゆかりある若い芸人に、彼らの芸を発表する場所を提供したいという思いがあった。10日間に渡る開催期間中、偶然入った高円寺の店で出会った芸人たちを、いつの日かテレビで見かけることもあるかもしれない。また、ベテラン芸人の芸に生で触れることで、演芸の楽しさを知るきっかけにもなるだろう。
第七回となる2017(平成29)年は、庚申(こうしん)通り商店街の「庚申塔建立300年記念」にちなんだ寄席や、「熊本・大分復興応援寄席」など特別な催しも行われた。長仙寺檀徒寺務所、高円寺氷川神社の両会場で開催された「二ツ目の競演!」は若手二ツ目21名による計36席の落語三昧で、長蛇の列ができるほどの人気だった。また、毎年定番のプログラムとして、小杉湯で開催される「はじめての寄席」も、銭湯というユニークな会場と木戸銭ワンコインの手軽さで人気となっている。
※1 2010(平成22)年3月にプレイベントを開催
Q:この時期に開催している理由は?
A:高円寺は春に「高円寺びっくり大道芸」、夏に「東京高円寺阿波おどり」、秋に「高円寺フェス」があり、冬の寒いシーズンには何か室内で観られるものをということで、演芸がいいのではとなったのです。
Q:これまでで印象に残った出来事は?
A:第一回のときにテントの中で落語を聴くプログラムがあり、葬儀用の大きなテントを張ったのですが、初日にかなりの雪が降って慰問落語のようになってしまいました。大雪には過去に2度苦労させられました。氷川神社では、前夜から降った大雪を黙々と雪かきしたこともありました。演芸まつりは、雪、風、寒さとの戦いです。
Q:「高円寺演芸まつり」ならではの特色は?
A:このまつりは流派を超えて(※2)落語家が参加してくれます。流派の違いは彼らの落語(の特色)であり、聴いている方はそれを楽しめるわけです。控室はまるで球団に関係なく選手が集う野球のオールスター戦のような感じです。演芸まつりが開催されるこの時期、都内の各演芸場で出演を終えて高円寺に向かう芸人さんが増え、「今、一体高円寺で何があるのか?」と話題になっているかもしれません。
Q:今後の予定をお聞かせください。
A:妙法寺で開催された「堀之内寄席 演芸まつりスペシャル!」は、2017(平成29)年に初めて行われたプログラムです。妙法寺では、毎月23日に書院で若手による「堀之内寄席」を開催していますが、「演芸まつりスペシャル!」はご本尊がある本堂での開催で、終演後には柳亭芝樂(りゅうていしばらく)師匠の案内により妙法寺の史跡を巡りました。「演芸まつりスペシャル!」は次回以降も定番プログラムとして続けていきたいと考えています。
※2 落語界では、落語協会、落語芸術協会をはじめとして、いくつかの協会、流派、団体があり、一般的に噺(はなし)家は所属する団体によって出演する寄席が決まるが、近頃はこのような流派を超えた活動も盛んになっている
開催期間:2024年2月9日(金)~18日(日)