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時をかけるなみすけ!下高井戸の歴史に触れてみたよ

5月に見頃を迎える杉並区立塚山公園のキショウブ

5月に見頃を迎える杉並区立塚山公園のキショウブ

江戸時代の旅人気分で甲州街道から出発!

「今日はてくてくお散歩日和。杉並区の最南端、下高井戸周辺を歩いてみるよ~。甲州街道、下高井戸駅入り口交差点からスタート!」
国道20号は、江戸五街道の一つ「甲州道中(街道)」だったことから、今でも「甲州街道」の通称で呼ばれている。多くの旅人が行き来していた江戸時代、下高井戸から上高井戸にかけては、江戸を出て初めての宿場である「高井戸宿」が設けられていた。
「大きな門があるお寺に入ってみよう」
甲州街道を西に向かって歩いていくと「宗源寺」(そうげんじ)がある。境内には不動堂があり、かつて高台に置かれていたことから「高井堂」と呼ばれており、「高井戸」という地名の由来の一つになったともいわれている。また、本堂の横には、区指定天然記念物のラカンマキの大木がそびえており、樹齢は400年ほどとされている。
「この木はいろいろな時代を見てきたんだね」
さらに甲州街道沿いを西に進み、「甲州道中一里塚跡」へ。江戸日本橋から4里目を示す一里塚があった場所で、当時の旅人の道のりの目安となっていた。現在では、当時の面影はなく、文化財案内標示板のみが設置されている。
「日本橋から16㎞の場所だね」

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甲州道中一里塚跡(外部リンク)

「ここに一里塚があったんだね~」

「ここに一里塚があったんだね~」

現在は住宅地の中にひっそりたたずむ「不動堂」

現在は住宅地の中にひっそりたたずむ「不動堂」

堂々たる姿で「宗源寺」本堂の前に立つラカンマキ

堂々たる姿で「宗源寺」本堂の前に立つラカンマキ

江戸時代の水路が形をかえて憩いの場となる

「ふ~っ、結構歩いたから、公園でちょっと一休み」
甲州街道の北側の住宅地にある「杉並区立玉川上水第二・第三公園」は、のどかな公園だ。ここにはかつて、江戸の町に飲料水を供給するために作られた玉川上水が流れていたが、暗渠(あんきょ)化され、下流にある玉川上水公園から約2㎞続く細長い公園が整備された。遊歩道を兼ねた園内には、大きな船や電車、動物の形をした遊具のほか、ジャングルジムや迷路などがあり、子供たちが元気に遊んでいる。ベンチでくつろいでいた人が「春には桜が満開になってとってもきれいだよ」と教えてくれた。
「春になったら、ナミーやなみきおじさんとお花見したいな」
また、玉川上水第三公園の北側には、大正初期から昭和初期に「吉田園」という遊園地があった。玉川上水の水を使用した屋外スケート場を有し、夏にはプールとして利用され人気だったという。
「杉並に屋外スケート場があったなんてビックリ!無くなったのは残念だな」

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春の玉川上水第二・第三公園は、区内のお花見ポイントとしても有名

春の玉川上水第二・第三公園は、区内のお花見ポイントとしても有名

公園の出入り口と遊具がつながっている所もある

公園の出入り口と遊具がつながっている所もある

「おしゃれな服でスケートを楽しんでいるね~」

「おしゃれな服でスケートを楽しんでいるね~」

バック・トゥー・ザ・縄文時代

神田川方面に向かって住宅地を進んでいくと、木々に囲まれた公園が見えてきた。
「みてみて!昔のおうちがあるよ」
塚山公園は、1988(昭和63)年、縄文時代の土器や石器、住居跡が発掘された「下高井戸塚山遺跡」に作られた。発掘時の写真や縄文土器のレプリカなどが管理事務所に展示されているほか、園内に復元した竪穴住居があり、中をのぞくと縄文時代の生活様式を見ることができる。
「わぁ、お肉や魚を焼いているよ!おいしそう。縄文のご飯はどんな味なのかな」
土器をかたどった椅子やテーブルが設置された園内を進んでいくと、「グァーグァーグァー」と鳴き声がした。
「あ、カモさんだ。こんにちは。気持ち良さそうに泳いでいるね」

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縄文時代にワープした気分

縄文時代にワープした気分

池の横には、休憩にぴったりのあずま屋もある

池の横には、休憩にぴったりのあずま屋もある

神田川に架かる「塚山橋」。「橋も縄文土器の模様でステキだね」

神田川に架かる「塚山橋」。「橋も縄文土器の模様でステキだね」

「いざ鎌倉!」鎌倉時代の道を行く

かわいい野鳥にいやされて、塚山公園を後にしたなみすけ。公園の東側には、鎌倉~室町時代、幕府があった鎌倉と東国御家人を結ぶ道として繁栄した鎌倉街道が通っている。神田川にかかる「鎌倉橋」の脇に「鎌倉街道」と記された石の標識が立っているのを見つけた。
「ここから鎌倉はちょっと遠いな~」
鎌倉橋から甲州街道へ向かう道中は上り坂だ。
「えっちらおっちら、坂道がきついなぁ」
300mほど行くと「庚申堂」があったので、ちょっと寄り道。2基の庚申塔と1基の馬頭観音が安置されており、案内板によると青面金剛像と三猿が描かれた庚申塔は1695年に作られたものだそうだ。
「お花やお水などが供えられてるよ。みんなから大切にされているんだね」

「当時は多くの人が往来していたんだろうね」

「当時は多くの人が往来していたんだろうね」

左側が1695年造と伝わる庚申塔

左側が1695年造と伝わる庚申塔

旅の終わりは商店街で

「下高井戸商店街についたよ~。たくさん歩いて疲れちゃったな。何かおいしいものが食べたいな~」
下高井戸には駅前を中心に、生鮮食料品店や日用雑貨店、お食事処まで幅広いラインナップの商店街がある。
「どのお店がいいかなぁ~。悩んじゃうな~」
迷ったときに訪れたいのは、商店街の案内所「しもたかステーション」だ。入るとスタッフがすぐに「こんにちは。何かお探しですか?」と声を掛けてくれた。
「休憩する場所があるんだね。そうだ!おすすめのお店をきいてみよう」
疲れをとるのにぴったりの甘くておいしいたい焼きを食べて、すっかり元気が出たなみすけ。下高井戸駅の北側にある商店街「北口レンガ通り」を通り、再び甲州街道に戻ったところでお散歩終了。近くに南北バス「すぎ丸」さくら路線の停留所があった。
「すぎ丸でも今日散歩した場所へ行けるよ。縄文時代から大正時代まで歴史の勉強もできて、楽しい旅だったな~」
途中、坂道もあるので、バスを使うと楽に移動ができそうだ。

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すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のキャラクター>すぎ丸

甲州街道から商店街を抜けると下高井戸駅がある

甲州街道から商店街を抜けると下高井戸駅がある

しもたかステーションで、世田谷区商店街連合会のキャラクター「が~やん」とスタッフの方と一緒にパチリ

しもたかステーションで、世田谷区商店街連合会のキャラクター「が~やん」とスタッフの方と一緒にパチリ

すぎ丸「下高井戸駅入口」停留所。京王井の頭線「浜田山駅」に行ける

すぎ丸「下高井戸駅入口」停留所。京王井の頭線「浜田山駅」に行ける

DATA

  • 取材:わいじ
  • 撮影:わいじ
    取材日:2021年04月17日、05月08日
  • 掲載日:2021年07月05日