甲州街道沿いに広がる庶民的な街
下高井戸
SHIMOTAKAIDO
甲州街道から一本北にある約300mの静かな通りには、梵鐘(ぼんしょう)が目を引く永昌寺をはじめ、栖岸院、法照寺、浄見寺、善照寺、託法寺の計6つの寺が並んでいる。また、通りを隔て、永昌寺の西には龍泉寺、託法寺の東には真教寺、築地本願寺和田堀廟所(びょうしょ)が続く。その一部は、1923(大正12)年の関東大震災後に移転してきた寺である。江戸時代に建立された永昌寺の庚申塔と地蔵塔、鎌倉時代後期作の栖岸院の聖観世音菩薩(ぼさつ 杉並区指定文化財)など、見どころも多く、歴史に思いを馳(は)せながら散策するのもおすすめだ。
寺が連なる通りと甲州街道の間には「玉川上水永泉寺緑地」がある。玉川上水の暗渠(あんきょ)の上に作られた公園で、空を覆うほど豊かに木々が茂り、隣に首都高速道路が走っているとは思えないほど落ち着いた憩いの場となっている。
神田川に程近い住宅地に、都内でも珍しい屋外ビーチコートを有する永福体育館がある。コートの砂は、風が吹いても飛散しにくいオーストラリアから輸入したホワイトサンド。その他、多様なスポーツに対応できる体育館や小体育室、トレーニングルームを完備。スポーツ大会をはじめ、親子で楽しめる教室やイベントなどを開催している。
1913(大正2)年4月に開業した京王線下高井戸駅は、1937(昭和12)年、日本大学予科文科世田谷校舎(現日本大学文理学部)ができた翌年3月に「日大前」に改称された。しかし、1944(昭和19)年6月、再び「下高井戸」に戻る。京王電鉄によると、「東急世田谷線と京王線の2路線の駅が合併したことにより、東急世田谷線の駅名“下高井戸”に合わせて戻されたのではないか」といわれている。