杉並区の暗渠(※1)には、金太郎が描かれた独自の車止めが設置されている場所がある。本書は、それに魅せられた「金太郎ハンター」5名が、金太郎についてさまざまな角度から分析・考察したマニアックな解説本だ。設置理由や、金太郎とクマの顔の種類、所在地を記したマップなど、金太郎に関するあらゆる情報が詰まっている。
金太郎ハンターになったきっかけは、暗渠探索をしている中で出会い意識するようになった人、金太郎の存在を知り探し求めずにはいられなくなった人など、メンバーによって少しずつ違います。個性の光る車止めなので、発見時の興奮度はひとしお。住宅地の中で宝探しのように探索できることや、個体差があるため微妙な違いを味わえることも魅力です。数が減少していますので、ある程度個体数と地元の人の記憶があるうちに発信しようと思ったことが、出版に至った背景の一つです。
金太郎の車止めは、杉並区の宝です。ぜひとも多くの皆さんに、金太郎探しを兼ねた暗渠探索を長く楽しんでいただけますように。もしかしたら、金太郎ハンターズもまだ気づいていない、未知の金太郎が杉並のどこかに眠っているかもしれません。金太郎の車止めに関する思い出のある方は、ぜひ金太郎ハンターズに教えてください!
金太郎の車止めは、破損や老朽化などによって撤去されつつあり、徐々に数が減っている。所在地を記した「杉並区内の全金太郎マップ」(2021年3月現在)や、31体の写真を掲載した「金太郎図鑑」などのコンテンツは、貴重な記録といえよう。杉並の歴史や地形についての調べもの学習に利用したり、この本を片手に散歩がてら金太郎を探したりと、大人も子供も楽しめる一冊だ。
荻窪の「Title」、阿佐谷の「古書コンコ堂」など、区内の一部書店で取り扱っている(※2)。
▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のアートスポット>Title
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の古書店>古書コンコ堂
※1 暗渠(あんきょ):河川や用水路を地下化し、蓋(ふた)をして見えなくしたもの
※2 書籍の取扱店は以下サイトを参照
https://www.ankyomaniacs.com/goods