住宅街の中に公園や畑の緑が広がる街
下井草
SHIMOIGUSA
西武新宿線下井草駅は、南側には住宅街、北側には農地が多い閑静な地域にある。急行は停車しない比較的小規模な駅であるが、JR阿佐ケ谷駅や荻窪駅間をバスが頻繁に行き来しているので、交通の利便性は良い。
駅の南側にはバス停があり、駅を中心に南北の旧早稲田通り沿いに商店街が広がっている。荻窪や阿佐谷エリアと接する南部には、妙正寺川が横断しており、自然にも恵まれている。駅南口から徒歩約10分の所には、旧下井草村の鎮守で、現在は社を残すのみとなった銀杏稲荷神社が静かにたたずむ。
妙正寺川は区立妙正寺公園内の池を水源とし、下井草地域の南部を流れている。川のほとりには枝垂れ桜が植えられ、桜の季節には絶景となる。区立井草さくら公園も区内の桜スポットの一つだ。
地域内の点在する公園周辺は子供連れも散歩しやすい環境である。エリアの南側には、地域の子育て支援の拠点「子ども・子育てプラザ下井草」があり、乳幼児や保護者が楽しく過ごすことができる。
住宅街にある農園では、多くの作物が栽培されている。森田信幸さんが経営する三幸園のトマトは甘くて心地よい酸味が特徴で、地元をはじめ全国で人気がある。直売所で見かけたら完売になる前に購入したい。他にもブルーベリー農家や花農家もあり、畑にたわわに実る野菜や花々が季節を感じさせ、歩いているとつい足を止めてみたくなる。
例年9月に井草地域区民センターで「井草センターまつり」、例年秋頃には八成区民集会所で「八成まつり」が行われる。
地域交通の要である下井草駅を中心に、北側と南側、2つの商店街がある。
駅南口周辺と、南に向かう旧早稲田通り沿いの地域に店が並ぶ。阿佐ケ谷駅や荻窪駅行きのバス停留所があり、自動車の往来もやや多い。地域一番の商店街。
駅北口から北西に延びる旧早稲田通り沿いをメインに、新青梅街道沿いも含む範囲に広がる。飲食店や医院などのほか、アニメ制作会社「株式会社ゼロジー」もある。
開高健(1930-1989)は、寿屋(現サントリー)で宣伝部員として活躍後、『裸の王様』で第38回芥川賞を受賞。東京で最初に住んだ社宅が下井草にあった。その後井草に転居するが、その井草の旧開高宅は、開高文学の発信基地「開高健記念文庫」として現在公開されている。