環状八号線と自然豊かな神田川遊歩道がクロスする街
高井戸
TAKAIDO
高井戸駅のホームは、環状八号線の真上にある。中央自動車道高井戸インターチェンジや甲州街道も近く、周辺は都内交通の要所となっている。17世紀初頭、甲州街道に高井戸宿が設けられ、幹線道路沿いの街として発展してきた歴史を持つ地域だ。
駅を出ると環八沿いからJR中央線荻窪駅方面と京王線千歳烏山駅方面に向かう路線バスが発着。駅から徒歩10分圏内にはテニスコート、ゴルフ練習場などの大型民間スポーツ施設があり、地元住民はもとより区外からも利用者が訪れている。
駅南側には神田川が流れ、ゆったりした雰囲気の住宅街が広がる。桜並木が続く神田川遊歩道は、ジョギングやウオーキングのスポットとして人気だ。
高さ約160メートルの白い煙突が目を引く「杉並清掃工場」は、高井戸の代表的な施設だ。工場内には、3つの一般開放施設(ウオーキングロード、資料室「東京ごみ戦争歴史みらい館」、環境学習施設「高井戸の里 あし湯」)がある。また工場の西側広場にはアンネ・フランクのバラの花壇が作られ、ボランティア団体「杉並清掃工場アンネ・ロザリアンの会」と工場職員が一緒にバラを育てている。
工場隣地には複合施設「高井戸市民センター(建物名)」がある。駅から至近の館内に、高井戸地域区民センター、高齢者活動支援センター、高井戸温水プール、ひととき保育高井戸、定期利用保育施設高井戸が設置されているほか、広々としたロビーや囲碁・将棋コーナーなどのコミュニティースペースも充実している。
環八や井ノ頭通りの近くには、個性あふれる企業が点在している。
高井戸警察署並びの「オーデリック株式会社」は、照明器具の専業メーカー。また、環八沿線には、画期的な蓄光性夜光顔料を開発した「根本特殊化学株式会社」や、業務用食品の「ケンコーマヨネーズ株式会社」など、共に業界内でシェアを誇る専門性の高い企業が社屋を構えている。
広い中庭を持つ高井戸市民センターでは、高井戸地域区民センター協議会主催の「高井戸消防まつり」(4月)、「高井戸ちびっこ盆踊り」(8月)、「高井戸センターまつり」(10月)と、年間を通して地域イベントが開催されている。3月に館内で開催される「高井戸狂言会」は、杉並能楽堂を拠点に活動する大蔵流狂言山本会の公演を無料で鑑賞できる人気のイベントだ。
そのほか秋には、清掃工場で「杉並清掃工場環境フェア」、「高井戸囃子(たかいどばやし)」が奉納される上高井戸第六天神社の例大祭なども開かれる。
高井戸駅南側の環八沿いに高井戸駅前商店会と高井戸共栄会がある。
環八の変遷を見続けてきたおかきとせんべいの専門店「こがね堂」や地元密着型の飲食店などが並ぶ。
環八沿い、甲州街道方面に続く商店街。ドラム専門店の「カノウプス」などがある。
高井戸は江戸時代から昭和初期にかけて「高井戸丸太」と呼ばれる杉丸太の産地だった。『杉並区史探訪』によると、高井戸丸太は良くしなる優れた竿材として知られていたという。同書には「昭和九年四月、皇太子殿下の初節句のお祝に、高井戸東三丁目の内藤庄右衛門氏が、錦鯉の竿二本を献上しました」との記述があり、皇室にも献上されていたことがわかる。