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近衞家の太平洋戦争

著:近衞忠大 (NHK出版)

クリエイティブ・ディレクターの近衞忠大(ただひろ)さんが、ドキュメンタリー番組『真珠湾への道』(NHKハイビジョンスペシャル・2002年放映)の制作に協力し、曽祖父・近衞文麿さん、祖父・近衞文隆さんの足跡を国内外に訪ねた取材記録をまとめた大作。当時、国民には知らされなかった政府と軍部の内幕も描かれている。
近衞文麿さんは、日本が戦争拡大から破滅へと至った時代、難局の打開を期待され、三度も内閣を組閣した元首相。近衞文隆さんは文麿さんの秘書を勤めたのち、陸軍に召集され満州へ赴任した。二人の悲劇的な結末ゆえに、真相は親族たちのなかでもあまり触れられることがなく、忠大さんも取材を通じて初めて知る事実が多かった。「戦争を知らない同じ世代に共感してもらい、戦争を考え、日本という国や僕らの祖先がたどった足跡を考える機会を微力ながらも増やすことができれば…。」苦悩し続けた親族たちの姿に思いを馳せながらも、これからの日本を担う世代として、未来を模索しようとする忠大さんの熱意が伝わってくる一冊だ。
おすすめポイント
本書によると、近衞文麿さんは、家庭生活は多忙を極める政務から離れた場所でとの願いから、1938年(昭和13年)、永田町から荻窪の邸宅「荻外荘(てきがいそう)」に拠点を移した。本書では、藤原氏の末裔で五摂家の筆頭だった近衞家の日常、実は親中派、新米派だった考え方、暮らしの場にも影を落とした政治的圧力の姿など、近衞家の人々の杉並での当時の様子も知ることができる。2014(平成26)年 、「荻外荘」は、近衞家から杉並区に移譲され、公園としてオープンする日を待っている。本書を通じ、「荻外荘」と、杉並を過ぎていった苦難の時代を振り返ってみてはいかがだろうか。

▼関連サイト
運命の宰相・近衞文麿と荻外荘(てきがいそう)はこちらから

▼関連情報
現在、杉並区では、「荻外荘の復元・整備」に関して、寄附を受け付けています。ふるさと納税制度もご利用いただけます。
杉並区公式ホームページ「荻外荘」の復原・整備(PDF 2.1MB)(外部リンク)
ふるさとチョイス「杉並区」のページ(外部リンク)

DATA

  • 取材:井上直
  • 掲載日:2014年02月17日