ちもと総本店は、江戸時代に現在の銀座界隈で創業した和菓子の老舗。戦後、軽井沢に移転し、2016(平成28)年、二店目となるちもと総本店 阿佐谷を阿佐谷パールセンター商店街に開店した。「ちもと」の名前をのれん分けした和菓子店は他にもあるが、直営店は阿佐谷店だけである。
軽井沢が拠点となったことで始めたかき氷は、沢の水を自然の寒さで凍らせて作る天然氷で、ふわりとまろやかな食感。阿佐谷店だけの特別メニュー「宇治金時(上)」(1,100円)、「宇治金時(特上)」(1,320円)は、純粋な抹茶蜜で氷全体が染められ、どこから食べても濃厚。食べ進めると器の底から粒あん、求肥(ぎゅうひ)、白玉や栗などさまざまな和素材が出てきて、飽きさせない工夫と遊び心がある。
「ちもと餅」(1個227円)は、江戸時代から続く看板商品。餅とは思えないほど軽い歯ごたえの独特な食感で、遠方から買い求めに来る人もいる。
また、蕎麦とうどんのメニューもあるため、地元客のランチタイム利用も多い。
軽井沢で経験を積んできた店長は、「避暑地と違い、ここでは人が毎日生活をしている。“いつもの”と注文してくれる常連さんがいると、阿佐谷に根付きだした実感と喜びがある」と話す。阿佐谷七夕まつりのはりぼて作りにも力を入れており、地域との交流を大事にしながら、歴史ある独自の味を守っている。