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荻窪三庭園で映える写真を撮ろう

区立大田黒公園で印象的なポイントの写真撮影に挑戦

区立大田黒公園で印象的なポイントの写真撮影に挑戦

「行ってみたいね」と思わせる写真を撮る

荻窪三庭園(区立大田黒公園・区立角川庭園・区立荻外荘公園)は、季節ごとの木々や草花の変化によってさまざまな表情を見せる。また、園内の建物や庭園、園路などにも趣がある。訪ねてみると心を動かされ、写真に収めたくなるだろう。フォトグラファーのやまかわけんいちさんは「印象に残った形や色を写し取るように撮影するのが大事です。行ってきた記念や記録として漫然と撮影するのではなく、友人や家族に"いいね"じゃなくて"行ってみたいね"と思ってもらえる写真がすてきだと思います」と話す。やまかわさんのレクチャーの下、荻窪三庭園で印象的なポイントを撮影した。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園にいこう>杉並区立大田黒公園
すぎなみ学倶楽部 特集>公園にいこう>杉並区立角川庭園
すぎなみ学倶楽部 特集>公園にいこう>杉並区立荻外荘公園

印象に残った風景や自然を、見た通りに写し取る

印象に残った風景や自然を、見た通りに写し取る

さまざまな撮影の仕方に挑戦してすてきな1枚を撮ろう(撮影:やまかわけんいちさん)

さまざまな撮影の仕方に挑戦してすてきな1枚を撮ろう(撮影:やまかわけんいちさん)

カメラアプリの設定は欠かせない

今回の撮影はスマートフォンのカメラで行った。手軽に撮影できるが、工夫すればもっとすてきな写真が撮れる。そのための準備や設定について紹介しよう。
1.グリッドを表示する
グリッドとは画面を分割する線のこと。この線に合わせて、被写体の水平や垂直を合わせたり、画面の中で被写体が映る割合を調整したりする。カメラアプリの設定を開きグリッド表示をONにしよう。アプリによっては「3×3本」・「4×4本」・「黄金比」などさまざまな種類のグリッドを選択できるが、「3×3本」が基本的なものだ。
2.明るさを調整する
「カメラは暗いものを明るく、明るいものを暗く撮るように設計されています。見た目の通り撮影する場合は、アプリの明るさ設定を調整してから撮影しましょう」
3.撮影モードを適宜変更する
アプリによっては「夜景」・「ポートレート」・「接写」などのモードがある。状況に合わせてモードを変更して撮影してみよう。

画面の縦横に通る線がグリッドだ。表示は必須

画面の縦横に通る線がグリッドだ。表示は必須

アプリでは明るさの調整ができ、撮影モードも選べる

アプリでは明るさの調整ができ、撮影モードも選べる

屋根が印象的な大田黒公園正門の撮り方

大田黒公園では入り口の正門に早速カメラを向けたくなる。総檜の切妻づくり、棧瓦(さんがわら)ぶきの屋根は絵になる存在だ。ここで画面の中心に正門を据えて漫然とシャッターを切ると、バランスが悪くなるだけでなく撮りたくないものが写り込む。「画面の四隅に写したくないものが入っていないか気を付けて撮影します」。余分なものを除き、大イチョウの並木や奥行きを意識して構図を決めよう(作例1)。
正門をくぐり園路を進むと、前方右手に庭園が見えてくる。スマホを取り出して撮影する時、その向きは縦になっていることが多いだろう。縦向きで撮影したらすぐにスマホをしまわず、横向きでも撮影してみよう。縦向きの写真は天地の広がりがわかる一方、横向きの写真では水平の広さがわかる写真ができる。どちらが良いということではない。同じ場所を両方の向きで撮っておけば、バリエーションが増えて後から見る楽しみが増すのだ(作例2)。

(作例1)左は下部に余分な柵が写り込み失敗。画面四隅に注意

(作例1)左は下部に余分な柵が写り込み失敗。画面四隅に注意

(作例2)同じ場所で撮影しても縦横の向きで違ったイメージに

(作例2)同じ場所で撮影しても縦横の向きで違ったイメージに

自然や生き物を上手に撮る

やまかわさんの大田黒公園の一押しは、園路に並ぶイチョウの木の根。手入れが行き届き露出しているからこそ、ありのままの形が撮影できておもしろいと言う。根から視点を少し上げてみると、日光に照らされた葉が目に入った。「キラキラ光る葉っぱは被写体としておいしいので、積極的に狙ってみましょう。特に紅葉は太陽に向かって撮影する"逆光"状態の方が透過光できれいに撮影できます」(作例3)。
庭園内にある池を泳ぐコイも格好の被写体だが、水面に反射する光によってカメラの明るさの調整がうまくできなくなることがある。「そんな時は暗い場所や曇っている時に撮影を試みましょう。もちろん反射を生かし波紋などをアクセントに入れて撮影する方法もあります。写真は季節や光の具合など、条件によっては狙った通りに撮れないこともあります。その時々の条件でベストな写真をどのように撮るかを考えながら、撮影してみてください」(作例4)。

(作例3)被写体の形がはっきり出る写真は印象に残る

(作例3)被写体の形がはっきり出る写真は印象に残る

(作例4)水面が光らないほうが引き締まった印象を与える。写真下はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

(作例4)水面が光らないほうが引き締まった印象を与える。写真下はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

角川庭園の小径(こみち)は青空を添えて

角川庭園には自然を感じながら歩ける石畳の小径がある。石畳を目立たせるように撮影するなら、画面の手前から奥に向かって石畳が並ぶ様子がわかるように撮影するとよい。もし天気が良ければカメラを高めの位置で構え、青空を入れると明るい画作り(えづくり)ができる。「天気によって青空を入れたり、空を入れずに別の構図を考えたりするのが大事です。小径は振り返ってみるとまた違った景色が見えるので、意識的に確認しましょう」(作例5)。
秋の被写体として絵になるのがススキ。穂をきれいに撮影したい時は、被写体にぐっと近づいてから、穂にピントを合わせるのが大事だ。画面に映る穂を指で押せばピントが合い、背景がぼけて穂が目立つ写真になるはずだ。「穂のボリュームがある部分を被写体に選びましょう。葉っぱと同様に逆光の状態で撮影すると穂がキラキラと輝き美しく撮影できます」(作例6)。

(作例5)取材日は好天だったので空を入れて明るい雰囲気に

(作例5)取材日は好天だったので空を入れて明るい雰囲気に

(作例6)左の写真はピントが奥に合い手前の穂がぼけてしまった

(作例6)左の写真はピントが奥に合い手前の穂がぼけてしまった

「額縁効果」で庭を美しく切り取る

俳人で角川書店創設者・角川源義(かどかわ げんよし)の旧邸宅「幻戯山房(すぎなみ詩歌館)」の屋内では、廊下が被写体として面白い。立って自分の目の高さで撮影してもいいが、高さを変えての撮影にも挑戦してみよう。カメラを床すれすれに構え、天井と床が写る割合を同じぐらいにすると奥行きのある写真が出来上がる。「立ったりしゃがんだりして、撮影する位置を変えながら撮ると、また違った画作りができます」(作例7)。
部屋の中から庭を眺めると、草が刈りそろえられていて美しい。庭はガラス戸越しに撮影することになるが、自分が写り込んでしまうことも。そんな時はアプリの明るさ設定を暗くしてから撮影しよう。写り込みを軽減できる。また、あえてガラス戸や窓枠を写真に入れ込むことで「額縁」の役割をさせて、庭を目立たせるという撮影方法もある(作例8)。

(作例7)カメラ位置や明るさを調整すると印象が変わる。写真下はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

(作例7)カメラ位置や明るさを調整すると印象が変わる。写真下はデジタルカメラで撮影(撮影:やまかわけんいちさん)

(作例8)ガラスへの写り込みが気になるなら窓枠をあえて入れ込む

(作例8)ガラスへの写り込みが気になるなら窓枠をあえて入れ込む

荻外荘公園の撮影模様は2025年春に公開予定

2024(令和6)年12月、荻窪三庭園の一つである荻外荘公園が開園した。建物の周りでは季節に合わせて花々が色を付けるようだ。荻外荘公園の魅力的な撮影ポイントについては、やまかわさんご指導の下、2025年春に撮影して紹介する予定だ。

開園前の荻外荘公園。晩秋には燃えるように赤く色づいた木々も見られた(撮影:2024年11月15日)

開園前の荻外荘公園。晩秋には燃えるように赤く色づいた木々も見られた(撮影:2024年11月15日)

DATA

  • 最寄駅: 荻窪(東京メトロ丸ノ内線)  荻窪(JR中央線/総武線) 
  • 出典・参考文献:

    「公園で撮影をする場合(写真の撮影、動画の撮影)」(杉並区公式ホームページ)
    https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/machi/kouen/1005025.html

  • 取材:水野二千翔
  • 撮影:水野二千翔、やまかわけんいち
    取材日:2024年10月22日
  • 掲載日:2024年12月27日