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杉並区図書館ネットワーク・協定大学図書館

アカデミックな雰囲気の中で専門書などに触れられる

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杉並区内の大学図書館を活用しよう

杉並区民の図書館選びの選択肢として、区内の大学図書館があることをご存知だろうか。2004(平成16)年に杉並区立図書館と相互協力協定を結んだのが杉並区図書館ネットワーク。区内の大学図書館と連携することで、それぞれの図書館が所有する本や資料などの情報資源を提供し、区民の生涯学習環境の向上を図る目的だ。
これらの協定大学では、利用手続き後、本や資料の閲覧・貸出など図書館の一部サービスを区民に開放。また、協定大学の教員を講師に迎え、「図書館ネットワーク講演会」なども実施している。
このページでは、協定を結んでいる女子美術大学、高千穂大学、東京立正短期大学、明治大学、計4大学の図書館を紹介する。学生のための図書館ではあるが、杉並区図書館サービスとしてぜひ目を向けてほしい。

※利用方法・利用時間などについては、各協定大学図書館の公式ホームページを参照してください

▼関連情報
杉並区立図書館>大学図書館との連携(外部リンク)

教育研究を目的に収集された蔵書の数々は、各大学の特色が色濃く表れる

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冊子「杉並区内大学・短期大学図書館 利用案内」。区立図書館、協定大学図書館で配布している

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女子美術大学・女子美術大学短期大学部 杉並図書館

通称「女子美」の杉並キャンパスは、杉並区和田の住宅地にある。教育研究事業部の武井さんは、「相模原キャンパスにある図書館と違い、杉並の図書館はコンパクトなため、一部で電動式の書架を利用しています。少々不便なのですが、その代わり開架率約90%という特長があります」と話す。多くの本を開架しているため、目当ての本のそばに並ぶ本にも注目してもらえる利点があるという。
美術大学の図書館なので、蔵書冊数約17万冊のうち約半数が芸術関係の図書だ。ニューヨーク近代美術館やメトロポリタン美術館をはじめ、国内外の展覧会図録も多数所蔵。雑誌も美術・デザイン・ファッション分野が中心である。その他の本は、主に学生のカリキュラムをベースに選書しており、ベストセラーなどは置いていない。そのため「美術関連書に興味がある区民の方に利用してほしい」と武井さんは言う。

落ち着いた閲覧スペース

落ち着いた閲覧スペース

外国のデザインやファッション雑誌も多く取りそろえている

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2023(令和5)年の区民の図書館利用カード登録者数は25名で、年間入館者数は191名。利用時間帯には区民だけでなく学生も利用しているが、混み合うことはないので静かに閲覧できるそうだ。
図書館資料には、童画家・武井武雄の希少本のほか、OGである画家・堀文子が挿絵を描いた古書『世界少年少女文学全集9』とその挿絵などもある。このような貴重な資料は普段は閲覧できないが、2号館1階ロビーの展示スペースに展示することもあるので、そういう機会に見てほしいとのこと。図書館内にも、「女子美ガレリアニケ」の関連図書展示や、杉並図書館員推薦図書コーナー、学生作品などを展示する図書館ギャラリーがあり、美術への関心が深まりそうだ。

【DATA】
住所:杉並区和田1-49-8
電話:03-5340-4514
公式ホームページ:https://library.joshibi.ac.jp/

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作品ごとに異なる装丁が魅力の武井武雄の希少本。サインとシリアルナンバー入り

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図書館ギャラリーは、学生が個展を開くことができる展示スペース

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高千穂大学図書館

大宮八幡宮の隣、杉並区大宮にある高千穂大学。図書館が入る2号館は、正門から進んで左手の少し奥まった場所にある。
2001(平成13)年、「高千穂商科大学」から名称変更。約27万冊の図書のうち半数以上が社会科学系統の資料で、圧倒的な量を誇る。中でも特色として際立つのは、会社史のコレクションだ。企業が節目の年に発行する資料であり、一般には入手しづらいもの。その会社史が6千タイトル以上あり、全国の大学図書館の中でも指折りの所蔵数だ。会社史の魅力について、高千穂大学図書館の山田さんは「何年もかけて制作され、会社の創業からの思いを対外的にはPRし、組織内では社員教育になり得る熱量が詰まった会社史があります。学生の就職活動では、希望する会社の貴重な情報資料となるのではないでしょうか」と話す。

会社史コレクションの一部。多くの会社史は貸し出しも可能だ

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教員免許を取得できる学部があるため、対象の学校の教科書も取りそろえている

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区民の利用について、コロナ禍前は年間延べ千人ほどの利用があり、受付を再開後、徐々に利用人数は回復している。年間の新規登録者数は約40名程度で、館内利用としては、新聞・雑誌の閲覧コーナーが人気で、政治・経済・マーケティングなどの雑誌・新聞、関連資料の閲覧が多い。公共図書館よりも通いやすい、落ち着いて読めるという理由で通う区民もいれば、専門書や洋書など、公共図書館にはない蔵書を目当てに利用する区民もいるという。地下書庫は入室不可だが、図書館スタッフに依頼すれば資料を用意してもらえる。
また、授業公開や公開講座の実施日に、受講証があれば入館して資料を閲覧できるなど、区民が図書館に入りやすい工夫もしている。山田さんは「大学図書館を利用できることを知っていただきたい。大学図書館はハードルが高いと思われていますが、思った以上に快適に利用できると思います」と笑顔を見せた。

【DATA】
住所:杉並区大宮2-19-1
電話:03-3313-0147
公式ホームページ:https://www.takachiho.jp/outline/campus_map/lib.html

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窓際の閲覧席は人の目が気にならず居心地が良い、と区民にも人気

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専門雑誌・新聞コーナー。実学や教育に関心のある人に役立つラインナップ

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東京立正短期大学図書館

杉並区堀ノ内の静かな住宅地にある東京立正短期大学。キャンパスのあちこちに大きな木々が茂り、正門から図書館に向かう間も豊かな緑が心を和ませてくれる。
図書館の蔵書冊数は約5万冊。短期大学に幼児教育専攻があるので、絵本や紙芝居、ピアノの教本が充実している。絵本が並ぶコーナーは手作りの飾りつけがされており、かわいらしい雰囲気だ。また、現代コミュニケーション専攻で心理・ビジネス・観光を学ぶ学生がいるため、それに関連する資料も多い。「選書ツアー」という企画で、学生が書店に出向いて選んだ本を紹介するコーナーもある。
以前、英米語学科があったことから、英語の資料も豊富。シェイクスピア劇の古いレコードも所蔵しており、貸し出しは禁止だが、美しいジャケットを見せてもらうことは可能だ。

明るく居心地の良い館内。新刊や学生選書も目立つところに並んでいる

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美しい挿絵の箱に入ったシェイクスピア劇の古いレコード

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区民の受け入れはコロナ禍で一時中断していたが、2023(令和5)年に再開。同年の利用者は約20名だったが、コロナ前は150名ほどが利用していたので徐々に増えていくのではないかと、司書の米津さんは話す。「20~40代の女性利用者が多いです。絵本のコーナーがあるので、お母さんがお子さんのために本を借りにいらっしゃることもありますよ」
最寄りの新高円寺駅からは徒歩約11分。区立図書館からやや離れたエリアにあるため、身近な図書館として便利に使えそうだ。米津さんも、まずはここに図書館があることを多くの方に知ってほしいと笑顔を見せる。「小説やベストセラー本もありますので、区立図書館と同じように幅広い年齢の方に利用していただきたいと思っています」

【DATA】
住所:杉並区堀ノ内2-41-15
電話:03-3316-6854
公式ホームページ:https://lib-tokyorissho.opac.jp/opac/top

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保育関係の本が充実

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絵本や紙芝居のコーナー。学生が制作した絵本や紙芝居を見ることもできる

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明治大学和泉図書館

明治大学の和泉キャンパスに着くと、すぐにガラス張りのスタイリッシュな建物が目に留まる。4階建ての和泉図書館は「入ってみたくなる図書館」がコンセプトで、学生の利用率も非常に高いという。文系の学生と大学院生が通うキャンパスのため、人文科学・社会科学に関する資料が豊富に取りそろえられている。
和泉図書館においては、杉並区・世田谷区在住の方々の利用基本条件を「満20歳以上で、特定の研究テーマを持っている方」としている。その意図について和泉図書館事務室の松嶋さんは、大学図書館ならではの特徴にあると話す。「あくまで教育研究に供する資料のため、収蔵図書に偏りがあります。そのため、和泉図書館の蔵書に合った研究テーマをお持ちかどうか、事前に確認させていただいています。少しハードルを上げてしまうことにはなりますが、利用料もいただくため、その方がお互いに良い関係になれると思っています」

自然光を取り入れ、館内は全て間接照明。開放的で落ち着く空間だ

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蔵書冊数は約40万冊で、入手困難な資料もそろう。区民も書庫の出入りが可能

蔵書冊数は約40万冊で、入手困難な資料もそろう。区民も書庫の出入りが可能

2024(令和6)年の杉並区民の登録者数は150名ほど。申込書の多くは研究テーマが詳細に書き込まれており、熱心な思いが伝わってくるという。利用する区民の世代や研究テーマは幅広い。現役世代は、仕事に結びつくような金融・マーケティング・経営など実学的なテーマが多く、リタイア後の世代は、政治・経済・社会問題など時事ネタのテーマが目立つそうだ。
1階の図書館エントランスの右手にある小さなギャラリーは、正門で入構手続きをすれば誰でも見学可能。貴重書である、明治から昭和戦前期までの文学書の初版本など、保有するコレクションの一部を不定期に一般公開している。気軽に立ち寄り、大学図書館の雰囲気を感じながら、史料としての本の価値を楽しむこともできそうだ。

【DATA】
住所:杉並区永福1-9-1
電話:03-5300-1186
公式ホームページ:https://www.meiji.ac.jp/library/index.html

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世界の学会誌が並び、最新の研究にアクセスできる環境が整う

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最上階の4階は静かで集中できるエリア。ブース席はしっかりと囲われている

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DATA

  • 取材:かめ山なほ子、西永福丸
  • 撮影:かめ山なほ子、西永福丸
    取材日:09月13日、09月17日、10月03日、10月10日
  • 掲載日:2024年12月09日